宮崎台小4年5組 五色百人一首で学び深め 担任「学級づくりに好影響」 川崎市宮前区

試合を行う4年5組の児童

小倉百人一首を20枚ずつ5色の札に色分けした教材「五色百人一首」の神奈川県川崎大会が6月9日に市生涯学習プラザで行われ、宮崎台小学校の関係者が上位を独占した。同校で10年前から授業に五色百人一首を取り入れている原地信久教諭に理由を聞いた。

たごのうらにうちいでてみればしろたへの――。上の句が読み上げられたその刹那、下の句が書かれた取り札が飛んだ。静と動。原地教諭が受け持つ4年5組では、29人の児童が机を合わせて試合を行っていた。1試合して勝てば上がり、負ければ下位の席で試合をするルールなど、子どもたちが夢中になる工夫を凝らしている。

「まるで魔法」

学校教育の一環として1990年に開発された五色は20枚のため、約3分で決着する。日本文化に触れつつ授業の隙間時間を有効活用できるとして、多くの川崎市内の小学校でも取り組まれている。原地教諭は26年前から五色を国語や総合の授業に活用。最大の利点として挙げるのが「学級の仲がよくなること」だ。試合は礼に始まり礼に終わる。「負けを認めることができるようになった児童を何十人もみてきた」と目を細める。いわく「五色百人一首の魔法」。学級づくりに役立つ優れた教材と信じてやまない。

同校には10年前に赴任。授業のほか、卒業生らの要望から「宮崎台五色百人一首会」を組織し、不定期で土日も指導にあたる。一昨年には当時5年生だった児童が全国3位に。先の川崎大会では決勝トーナメントに残った8人のうち、7人が同校の関係者だった。県内外の参加者55人の頂点に立った同校卒業生の横山陽仁さん(中1)は「自分の全力を出すことができてよかった」と喜んだ。2位だった齋藤悠之介さん(小4)は「百人一首を覚えるのが楽しく、試合に勝つとうれしい」と面白さを教えてくれた。

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