「変わる広島駅前」2夜連続の大工事に密着 駅ビル直結の巨大橋げたと、マツダスタジアム方面へ“もう一つの橋”

一晩にして、広島駅前の大州通りに路面電車の通る巨大な橋げたが設置された。その前夜、駅ビルの2階部分からマツダスタジアム方面へ“もう一つの橋”が架けられた。日ごとに変わる景観は人々の心をひきつけている。

深夜の大工事で駅前の景色一変

2025年春の開業に向けて工事が進む新しい広島駅ビル。大きな目玉となる駅ビル2階へ路面電車が乗り入れるための橋げたが、6月17日未明に設置された。

橋げたの長さは約43メートル、幅約10.5メートル、重さ約250トン。深夜の大工事をひと目見ようと周囲に大勢の見物人が集まっていた。

工事関係者や地域の住民たちも固唾をのんで見守る中、約1時間かけて巨大な橋げたが架かり、広島駅南口の景色は一晩にして大きく変わった。

大阪から見にきた人は「1時間くらいでだいぶ景色が変わって、最初は違和感があった」と言う。今後は2025年春に向けてレールを設置する工事などが行われていく。

マツスタ方面へ“もう一つの橋”

一方、その前夜にもう一つの工事がヤマ場を迎えていた。

広島駅の東側にある高層マンションや商業施設からなる「Cブロック」と新しい駅ビルをつなぐ歩行者専用の橋、ペデストリアンデッキの架設工事である。広電広島駅JV・小林優也主任は「駅ビルからエディオン蔦屋家電へ2階をそのまま行けるようになります」と話す。限られた深夜の時間に進む工事の裏側を取材した。

トレーラーでパーツが運び込まれ、8~9トンある橋げたがクレーンで空中を移動していく。パーツとパーツの高さをぴったり合わせて固定。橋が架かる最終地点・駅ビルからも作業員が位置を確認し、連携して作業が進められた。

足を止めて、その作業を食い入るように見る通行人の姿も…。通りがかった人は「より使いやすく便利になっていくという感じがします」「この春、10年ぶりに広島に戻ってきたんですけど、街が大きく変わっていて、驚きと次は何がどう変わるんだろうというワクワクがあります」と完成を楽しみにしていた。

地上に降りることなく安全・快適に

工事は最終段階に入った。「残すは長さ7メートルのものだけ。最後の“けた”を地組して架設します」と小林主任が状況を説明。最終的な橋げたの長さは29.5メートルだが、細い道路上での作業になるため、現場でパーツを組み合わせ分割して架設される。

6月16日午前1時すぎ。最後の7メートルがクレーンでゆっくりと持ち上げられ、広島駅ビルとCブロックをつなぐ橋げたが架かった。交通規制などで近隣住民の理解を得ながら、限られた時間、限られたスペースで無事に終えたペデストリアンデッキの架設工事。2025年春の開業以降、どのような役割が期待されるのか。

広島市・広島駅南口整備担当の沖田隼人技師は「2階レベルで愛宕踏切の向こう側まで地上に降りることなく通れるということで、非常に重要な役割があると考えています。今後も屋根の整備やタイルの整備が続いていくので、一日でも早く皆さまに使っていただけるよう整備を進めてまいりたい」と話す。

カープの試合がある時など多くの人で混雑していても、車が行き交う地上を通ることなくマツダスタジアム方面へ安全かつ快適に歩くことができる。賃貸オフィスビルの「広島JPビルディング」側と東西一直線に通れるようになるため、人の移動もスムーズになりそうだ。

(テレビ新広島)

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