藤井風のアメリカツアー 同席の同時通訳者が語る魅力 「グローバルスター誕生の兆しを感じた」

藤井風のコンサート会場

ドラァグクイーンのサマンサ・アナンサとインスタグラマーのウラリエが、金曜日にパーソナリティーを務める番組『Clip』(ラジオ関西、月-金午後1時~)。先日、シンガーソングライター・藤井風が実施したアメリカツアーのロサンゼルス公演に同行したという、同時通訳者の田中慶子さんをゲストに迎えて話を聞いた。

【関連】英語を身につけるには「ひとりごと」がいい!? VIP担当の同時通訳者おすすめの勉強法

同ツアーのチケットは即完。当日もグッズを買い求める人などが押し寄せて、会場は長蛇の列となっていた。田中さんも、「コンサートもものすごい盛り上がりでしたし、現地で大絶賛されているのを目の当たりにして本当に感動しました」と振り返った。

通訳の仕事をはじめて20年以上になる田中さんは、音楽関係の仕事も多く担当してきた。

「日本からグローバルスターを生み出したい」という多くの人の思いを見てきたため、「『いよいよ日本からグローバルスターが出てくるんだ』という兆しを感じて、感無量になっておりました」と心境を吐露。

サマンサの「新しい“風”が吹いたということですね」という言葉に、ウラリエは「うまい!」と声をあげて反応した。

コンサートの感想について尋ねられると、「“プロ意識は忘れないように”と思いながらも、やっぱり会場で見せていただいたので、感動があまりにも大きすぎて。ここだけの話、“素で楽しんじゃう”という部分はありましたね」とコメント。

サマンサが「“ここだけの話”って、オンエアにのってます」とツッコむと、ウラリエは大笑いしていた。

ロサンゼルスには頻繁に行くため、今回は1か月ぶりだったという田中さん。サマンサは10代のころにロサンゼルスに住んでいたこともあり、「ハンドバックに、いや、入られへんからスーツケースに入って一緒に行きたい」とうらやましがった。当時、日系人も多く住むロサンゼルスでは英語を使う必要はあまりなかったのだとか。

田中さんによると、ロサンゼルスは特に日本文化を強く感じる場所で、日本のスーパーや和食レストランなど日本のものも多い。今回の滞在では、現地でラーメンを食べたという田中さん。値段について、「ラーメンを食べると3000円から5000円くらいするのは普通」と話すと、ウラリエは目を見開いて驚いていた。

ここでウラリエが、メールを紹介。あるリスナーは、中国語がある程度話せるため社内通訳をする場面がよくあるという。ただ、通訳が終わっていないうちから次の話をはじめる人が多く、困っているそうで、「同時通訳は、通訳が終わらないうちに次の話がはじまっていることがあると思うのですが、脳の中ではいったいどういうことが起こっているのでしょうか?」という質問がつづられていた。

「これはよくあること」と、田中さん。発言者が話しているタイミングからやや遅れて即座に通訳を行うのが「同時通訳」、発言者が数文話してからまとめて通訳を行うのは「逐次通訳」というそうだ。

リスナーが行っているのは逐次通訳のため、まだ訳し終わっていないのに相手が話しはじめてしまうことや、英語の単語をなんとなく聞き取って思い込みで話しだす人がいることから、「まずは訳すから落ち着いて」と言いたくなる場面があるのだとか。

田中さんが「同時通訳は、特殊な機材を用いて同時進行で訳すため、ある意味楽なんです。通訳以外のところの駆け引きとか、止めなきゃいけないとか、そういうのがない」と説明すると、パーソナリティーの2人は感心した表情で聞き入っていた。

(取材・文=バンク北川 / 放送作家)

※ラジオ関西『Clip金曜日』2024年6月14日放送回より

© 株式会社ラジオ関西