「ウズラ農家がなくなってしまう」誤飲事故を受け需要が減った“ウズラの卵”に活路を 宮崎の卵メーカーが新商品を開発

「ウズラの卵」を誤飲し、児童が死亡した事故を受けて、学校給食から「ウズラの卵」が次々に消えていった。宮崎・都城市にあるウズラの卵に関わる流通企業は、「このままではウズラ農家がなくなってしまう」と、ウズラの卵を使った新商品を開発した。そこには「苦境に立たされるウズラ農家を守りたい」という強い思いがあった。

誤飲事故で給食での提供取りやめに

都城市で卵の生産・販売を手がける「フュージョン」。2024年4月にウズラの卵を使った新商品の販売を始めた。新商品の名は「ちび!! すっぱたま卵(たまらん)」。元々ニワトリの卵で同様の商品「すっぱたま卵」を作っていたが、それをアレンジする形で、ウズラの卵を使った新商品として誕生した。

宮崎県内にウズラ農家はなく、フュージョンではこれまで愛知や熊本からウズラの卵を仕入れ、主に給食用として県内に卸してきた。

しかし2024年2月、福岡・みやま市の小学校で1年生の男子児童が給食に入っていたウズラの卵をのどに詰まらせ死亡する事故が発生。県内でも学校給食でウズラの卵の提供を取りやめる自治体が相次いだ。

フュージョン・赤木八寿夫社長:
事故があって、学校給食関係から「ウズラを使えない、メニューからはずす」という話があって、日本中のウズラを卸している人たちは全部切られるだろう。ひいてはウズラ農家の方がもっと大変になるのではないかと。目先の在庫をはかせるだけでなく、これから生まれてくる卵も流通に乗せる方法を考えていかないと、ウズラ農家がなくなってしまう…。

鹿児島県にあるウズラの卵の生産業者が、事故以来の窮状について話をしてくれた。

かわなべウズラ園・飯山哲二社長:
2月、3月の学校給食のウズラの水煮の発注がほとんどキャンセルになったというのが実態。農家の軒数も少ないし、業者も少ないので、学校給食関係が一番痛手である。

宮崎からウズラ農家を応援!

そこでフュージョンでは、ウズラの卵を使った新たな加工品の製造を開始。飼料高や鳥インフルエンザでニワトリの卵も厳しい状況が続く中、ウズラ農家を応援することを決めた。

フュージョン・赤木八寿夫社長:
仕入れたウズラと、自社のニワトリの“すっぱたま卵”だったら、自社の利益を考えれば自社のものを売った方が得。しかし、ウズラ農家をなんとかせねばという段階になれば、うちの“すっぱたま卵”はどうでも良い。なんとかウズラの卵を流通に乗せて、宮崎からジワジワ広がっていき、日本全国に流れていけば農家を救えるのではないかと。

「ちび!!すっぱたま卵」を食べてみると、程よい酸味で大人の味がした。お酒のつまみにも良さそうだ。

商品は、宮崎県内のスーパーなどで販売されている。お弁当に入れたり、サラダにも合うということだ。食べて、ウズラ農家の皆さんを応援していこう。

(テレビ宮崎)

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