”山あいではどこから出てきてもわからない”クマに襲われ80代男性が重傷 ツキノワグマ出没警報 富山

富山市の山あいで畑作業をしていた80代の男性がクマに襲われて、大けがをしました。県内でクマによる人身被害はことし初めてで、県はツキノワグマ出没警報を出し警戒を呼び掛けています。

21日午前11時15分ごろ、富山市大山地域の山あいにある西小俣の畑で80代の男性がクマに襲われました。

記者: 「男性はこちらの畑周辺で襲われたと見られています。こちらには男性のものとみられる血痕が残っています」

県などによりますと、自宅近くの畑で作業をしていた80代の男性がクマに襲われ、クマに顔をひっかかれさらに右の鎖骨が折れるなど全治およそ1か月の重傷です。命に別状はないということです。

現場は熊野川沿いの山あいの集落です。人身被害の報告を受けて調査に訪れたクマの専門家は…。

県自然博物園ねいの里 赤座久明さん: 「気を付けて作業してくださいっていうのは口では言えますけど、具体的にどこに行けばいいのかとか、100%安全な場所っていうとここに限らずですよ。富山県内の中山間地では、どこももう50歩100歩、似たような状況で、住宅のすぐ裏まで山林が迫ってる。そこから先の畑の間も耕作放棄地で草とか灌木が茂ってる。だからどこから出てきてもわからない。」

赤座さんは、本来こうした中山間地では、クマ自ら山に逃げ込むことが多く、人と接触するケースは少ないということですが…。

県自然博物園ねいの里 赤座久明さん: 「強いていえば、移動する時には鈴をつけたり、定着して農作業する時には大きめの音でラジオを流しながらくらいの精いっぱいなんじゃないかなと思いますけど。(今回被害にあわれた)80歳のご老人が自分の裏山をどう管理できるのか、一人のその力と、限られた時間で、こういう現状が今県内の中山間地すべてが抱える問題なんです。大変なんですよ。」 「普段は、こういうところではクマがあまり攻撃的にならず、自分からすぐ近くの藪の中へ隠れるように逃げ込んで何事もなく終わることが多いんです。そんなに頻繁に起きる事故ではないということです。去年の富山市南部の平野部みたいに、目撃が次から次に続いて、人身被害が1週間に何件も起きるみたいな、こういう中山間地にはまずない。クマもちゃんと自分の行動域だから落ち着いてて、そんなにがーっと攻撃的になるような行動をとらず、クマなりに安全第一で、行動パターンを自由に選ぶことができるので…。」

広報車の拡声器: 「外出の際はクマにご注意ください」

クマは見つかっておらず市や警察などがパトロールして、住民に注意を呼びかけています。県内でのクマの人身被害はことし初めてで、県はツキノワグマ出没警報を出し、警戒を呼びかけています。

© 株式会社チューリップテレビ