角田裕毅、「アップデートで前進するのは確実」と今後に好感触! 各国メディアは「今季6度目の入賞の可能性が高まる」と期待

F1第10戦のスペイン・グランプリが今週末に開催されるが、今季好調なビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は、この3連戦の初戦となるレースでも注目のドライバーのひとりとなっているようだ。

英国のスポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』は、独自のベッティングの対象として、「シャルル・ルクレール(フェラーリ)が上位に入るか?」「セーフティーカー(SC)が出動するか?」の他に「角田がポイント圏内でフィニッシュするか?」を挙げ、こちらのオッズは「5/6」と、実現の可能性は高いと見ている(ちなみにルクレールの件のオッズは8/1、SCは5/6)。

同メディアは、「RBは改良された車をスペインに持ち込む予定のチームのひとつで、これにより日本人ドライバーが今季6度目のポイント獲得を果たす可能性が高まるはずだ。カナダGPでの彼は、予選8位からチームメイトのダニエル・リカルドを先行していたが、終盤でミスを犯して14位に終わっている」と綴り、さらに以下のように続けた。

「上位勢が落ち着いてきた今、中団勢がポイントを獲得するのは困難を伴うだろうが、角田はRBの『VCARB01』から最高のパフォーマンスを引き出せることを示している。この車は、バルセロナのよく知られたサーキットで好成績を残すのに必要な空力性能を備えているはずである」

一方、スポーツ専門サイト『sportskeeda』も、スペインGPの注目点を挙げており、上位争い、セルジオ・ペレス(レッドブル)のトップ5入りの可能性とともに、角田とリカルドのチーム内対決がこれに含まれており、同メディアは車のセットアップが上手くいけば、という条件付きで、このコースでの経験が豊富なリカルドがカナダに続いて勝利を飾ると予想している。

リカルドの母国メディアである『FOX Sports』は、シート喪失の危機も囁かれる自国ドライバーにとって、サマーブレイク前の5レースが正念場であると指摘する記事の中で、彼の強力なライバルとなっている角田については、「期待の若手からスター選手へと順調に移行しつつある」と綴り、今季のリカルドに欠けている一貫性が、この日本人ドライバーに備わっていることも示した。
当の角田本人は、この週末に向けて「ここで大きな期待を抱くことはしたくないので、どれほどの成果が出るかは言いませんが、アップデートで全体的に前進することは確実だと思います。少なくとも、シミュレーターでの走行からはそう感じています。車の特性にあまり変化は感じませんが、全体的に空力面が向上したと感じます。これは良い兆候です。もちろん、実際にコース上で確認する必要がありますが、明らかに何か(良いもの)を感じます」と、慎重ながらも好感触を得ているようだ。
「我々の強みは低速コーナーにありましたが、今は高速でのダウンフォースや抵抗の少なさが必要であり、今季は常にその点で苦労していると言えます。これからのレースでは、多くの特徴的なレイアウトの高速コーナーがあるので、そこに焦点を当てています。全体的にはそれほど悪くはありませんが、もっと高速に重点を置きたいと考えています」(英国のモータースポーツ専門サイト『MOTORSPORT WEEK』より)

ここ数年苦しめられてきた車の性能不足が今季は大きく改善され、いよいよ上位勢を食うことも可能になってきたことは、勢いに乗っている角田のさらなる快進撃の後押しになることは間違いないだろうが、一方でマークされる立場になることで、プレッシャーも一気に増すことになるだろう。

元F1王者のデイモン・ヒルは、レッドブルのペレスとの契約延長を肯定する中で、角田については「ユウキは素晴らしい仕事をしているが、レッドブルの最前線に立つプレッシャーに耐えられるかどうか分からない」との見解を示したが(英国のF1専門サイト『F1 OVERSTEER』)、今季これからの角田の戦いぶりが、彼が真にレッドブルで走るに相応しいか否かの判断材料となるかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

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