千葉・銚子市の「入梅イワシ」ピンチ 水揚げは2021年の1割以下の1600トン 関東甲信の史上2番目に遅い梅雨入りが影響か

気象庁は21日、関東甲信・東海・近畿で梅雨入りを発表した。
関東では2番目に遅い梅雨入りで、私たちの食卓にも影響が出ている。

記録的な梅雨の遅れが旬の魚にも影響

21日朝から、断続的に雨が降り続いた関東地方。
都内では傘を持たない人が雨の中を走って移動する姿も多く見られた。

気象庁は21日、関東甲信・東海・近畿で梅雨入りしたとみられると発表、関東甲信地方は平年より14日遅く、統計開始以降2番目に遅い梅雨入りとなった。

この記録的な梅雨の遅れは、地域の名物である旬の魚にも影響を及ぼしていた。

千葉・銚子市がブランド化している「入梅イワシ」。
梅雨の時期にとれるマイワシのことで、1年を通じて最も脂がのっていると人気の魚だ。

銚子市内にある「青魚漬け丼専門店 丼屋七兵衛」では、これまで入梅イワシのフルコース「入梅イワシおまかせ御膳」を毎年6月と7月の期間限定で提供してきた。
しかし、今年は入梅イワシの水揚げ量が激減しているため、6月上旬から予約の受け付けを停止せざるを得なくなったという。

青魚漬け丼専門店 丼屋七兵衛・清水俊和店主:
少しずつ少しずつ水揚げと同時に加工して、ストックをしてはいますけれども、皆さんに、すべてに提供できるまでは、今年はいってないということですよね。

別の店「いわし地魚『香海』」でも、「本日イワシ刺身・なめろう提供できません」という張り紙があった。

イワシ料理をメインとするこの飲食店も、入梅イワシの不漁の影響にやはり肩を落としていた。

いわし地魚料理「香海」・畠山智店主:
ほかの魚も銚子で揚がる魚はほとんどだいぶ買ってるから、イワシはなくても商売にはなるんだけど、だいたいウチに来る人って、みんなイワシを求めてくるから、ちょっとがっかり。

この時期は入梅イワシを目当てに、県外からも客がやってくるという。

東京から来た客:
おいしいですね。去年も一度食べたことがあったんです。それですごくおいしかったので、今年も…と思って来たんですけど残念です。

大量のイワシ水揚げも「入梅イワシ」はなし

なぜ今年は、入梅イワシが不漁となっているだろうか。

漁港を取材したところ、大量のイワシが水揚げされていたが、これらは入梅イワシとは言えないものだという。

ーー入梅イワシは? 漁業関係者:
銚子にまだ入ってない。雨が降って、だんだんだんだんと脂がのるんです。

ーー本来は、これよりもっと大きい? 漁業関係者:
大きいもん。百何十グラムの大きいイワシ。

漁業関係者によると、マイワシの中でも特に大ぶりのものを「入梅イワシ」と呼んでいるということで、今年は絶望的な状況だという。

ーー今年の状況はどうですか? 漁業関係者:
もうダメだね。もうこれじゃ無理だよ、入梅イワシ。

ーー回復の見込みは? 漁業関係者:
なし。

雨が降らず海水温上がり、陸上の栄養も共有されず

東京海洋大学の上田勝彦客員教授によると、梅雨入りの大幅な遅れとの関連を指摘した。

東京海洋大学・上田勝彦客員教授:
マイワシっていうのは、比較的冷たい水温を好むイワシなんですね。今、全体的に雨が降らずに水温が上がっている状態の中で、その暖かい水温の中にマイワシは入っていけないっていうのが1つあります。

銚子漁港に揚がるマイワシは温暖化の影響で年々少なくなっているものの、今年は特に少なく、20日までの水揚げは約1600トン。2021年の1割以下にまで激減している。

さらに…。

東京海洋大学・上田勝彦客員教授:
この梅雨の雨っていうのはものすごく重要で、陸上の栄養を海に供給する役割をしてるんですね。それによって漁場は形成されるんですけども、(今年は)それがうまくいってない。

通常梅雨の時期には、陸地の栄養が川などを通じて海に流れ込み、マイワシの餌となるプランクトンが増える。

しかし今年は梅雨入りが遅れたためプランクトンが少なくなり、マイワシが小ぶりになってしまっているとも考えられるという。
(「イット!」6月21日放送より)

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