背中たたかれ振り返ると… クマに襲われ女性けが 北八甲田の山中 青森県内今年2例目

付近でクマによる被害があったことを伝える掲示を不安そうに見る利用者=21日、青森市の酸ケ湯温泉

 21日早朝、北八甲田の青森市の山中でタケノコ採りをしていた同市の60代女性がクマに襲われた。右太ももに大けがを負ったが、命に別条はない。クマによる人身被害は県内で今年2例目。

 市の発表によると、現場は石倉岳登山口から北側約300メートルの山林。午前5時40分ごろ、女性が背中をたたかれ振り返ったところ、体長1メートルのクマに襲われたという。その後クマが逃げ、女性は一緒に入山していた夫と車で約2.6キロ離れた酸ケ湯温泉旅館まで下って119番通報し、市内の病院に運ばれた。

 市職員や警察は現場付近をパトロールしたほか、周辺の宿泊施設に注意を呼びかけるチラシを配った。

 酸ケ湯温泉旅館は、入り口付近に設置した「入山時の注意点」の看板と一緒にチラシを掲示した。畑田素子支配人は「目撃情報はこれまでもあったが、襲われるというのは聞いたことがないので、びっくり」。普段から入山する利用者にクマへの警戒を促していたが、「改めて注意を呼びかけていく」と話した。

 元職場の仲間と酸ケ湯を訪れた小山信一さん(72)は近くでのクマ被害に驚いた表情。「明日は八甲田ロープウエーに行こうと思っていたが、控えようかな」と顔を曇らせた。

 県自然保護課の担当者は「クマもタケノコが好物。生えている近くにはクマもいる、ということを念頭に入山には十分注意してほしい」と呼びかけている。

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