102歳のホロコースト生存者、ドイツで雑誌の表紙に「私の物語を語り継いで」

ドイツ版『VOGUE(ヴォーグ)』7・8月号の表紙を、102歳のホロコースト生存者が飾った。

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マーゴット・フリードランダーさん。表紙の「Love」とサインは、彼女の直筆。

ホロコーストとは、ナチス・ドイツによって組織的に行われたユダヤ人の大量虐殺。

1921年、ベルリンで生まれたマーゴット・フリードランダーさんもホロコーストを経験した一人だ。

ベルリン・ユダヤ博物館 によると、マーゴットさんは第二次世界大戦初期を母親と弟と過ごしていた。国外に逃亡する予定だったが、1943年、弟がゲシュタポ(秘密国家警察)に逮捕されてしまう。

その後、母親も逮捕され、2人は送還先のアウシュビッツ強制収容所で亡くなった。

当時21歳だったマーゴットさんはゲシュタポから逃れたが、最終的に逮捕され、収容所に送還された。そこで夫と出会い、終戦して身柄が解放されてからすぐに結婚。2人はアメリカに移住した。

60年以上ニューヨークで暮らしていたが、2010年、夫の死を機にマーゴットさんはベルリンに戻った。

マーゴットさんはホロコーストの体験を語り継ぐため、数千回もの公演を行ってきた。

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CNN によると、これまでの活動の功績が認められ、ドイツの大功労十字章をはじめ、さまざまな勲章を受章しているという。

『VOGUE』の記者フォン・ミリアム・アムロは特集記事 で、マーゴットさんとの対談をこう振り返った。

「彼女の言葉はどれもポジティブなエネルギーに満ちている。最悪の事態を経験してもなお、恨みごとを言わない。そんなことが可能なのだろうか?」

「AfD(※ドイツの極右政党)の右翼的なスローガンに惹かれる若者が増えていること、反ユダヤ主義的な攻撃が増加していること、政治家が路上で殴られていること…」

「ヒトラーが政権を握ったとき、彼女は12歳だった。ホロコーストがどう始まったか、彼女は鮮明に覚えている。だからこそ、彼女は話したいのだ。もう話すことができない、犠牲者のためにも」

イスラエル・ガザ情勢を受け、最近は若者たちから、「イスラエル派かパレスチナ派か」「どちらが悪いのか」などと聞かれることが増えたというマーゴットさん。

彼女自身は、分断を望んでいないと話す。

「あなたたちを分断しているものに、目を向けないで。あなたたちを結びつけるものに目を向けなさい」

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マーゴットさんは最後に、「私の物語を語り継いでください。二度とこのようなことが起こらないように」と答えた。

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