阪神・大山「前を向いて」 主力の自覚持ち鳴尾浜で黙々と練習していた

 小幡がサヨナラ打を放ち、歓喜の大山(中央)ら阪神ナイン(撮影・山口登)

 「阪神1-0DeNA」(21日、甲子園球場)

 「4番ファースト、大山」のアナウンスが響き渡る。待ってましたといわんばかりに聖地が大歓声と拍手に包まれた。阪神・大山がリーグ再開初戦で1軍復帰し、即定位置に座った。マルチ安打を放ち、サヨナラ勝ちには笑顔で歓喜の輪に加わった。

  ◇  ◇

 チームが勢いに乗れずに厳しい状況で戦う中、5日に1軍を離れた。昨季は全試合で4番。今季も大黒柱として支えることが期待されたが、開幕から2カ月がたっても打撃の状態は上がらなかった。「責任、ふがいなさ、腹立たしさはある」と再起を誓い、黙々と鳴尾浜で練習に打ち込んでいた。

 精神的にも苦しい状況だった。それでも2軍での練習中は笑みを浮かべるなど明るい表情で励んだ。「下を向いてる姿を後輩に見せてもいいことはない。だったら前を向いてやるのが一番大事」と主力としての自覚を持ち、気丈に振る舞った。

 朝から晩まで野球に明け暮れる日々。ユニホームを真っ黒にし、強い日差しを浴びて顔と腕は小麦色に焼けた。「1年目、2年目、鳴尾浜で野球をした時のこと思い出します。その若かった気持ち。まだまだ若いと思ってますけど」と笑顔で話す。まだ29歳。心の中で炎を燃やし続け、前へと進んでいた。(デイリースポーツ阪神担当・和泉玲香)

© 株式会社神戸新聞社