アース・モンダミンのサスペが日本女子OPにも影響? 3億円大会で選手たちが強いられる選択「なんとかならないかな…」

サスペンデットで高木優奈も思わぬ影響…?(撮影:上山敬太)

<アース・モンダミンカップ 2日目◇21日◇カメリアヒルズカントリークラブ(千葉県)◇6688ヤード・パー72>

「仕方ないことだけど…出たかったな~」。降雨によるコースコンディション不良のため、サスペンデッドになることが決まった2日目の会場で、宮田成華が悩ましげな表情を浮かべている。そしてこれ以外にもチラホラと、『どうしようか』と話し合う選手たちの姿が会場にあった。この“心配”は、サスペンデッドになったことがきっかけになっている。

実は、今大会の予備日に設定されている24日(月)には、今秋に実施されるメジャー大会「日本女子オープン」(9月26~29日、茨城県・大利根CC西C)の地区予選2会場(栃木県・東松苑GC、千葉県・我孫子GC)の日程と重なっている。アース・モンダミンカップ出場者の一部に、その24日の予選会にもエントリーしている選手がいるため、もしも“月曜日決着”になった場合、秋に日本一を争う大会に出場するためのチャンスを失うことになるわけだ。

もちろん通常通り、日曜日までに試合が終われば何も問題はないのだが、21日の段階で第2ラウンドを終えたのはわずか1組。47組が、きょう午前7時1分からそれぞれ第2Rの残りホールを消化しているが、2日目の午後組に組み込まれた選手たちはきのうの時点でまだスタートもできていなかった。それに加え日曜日も雨予報が出ており、月曜日までもつれ込むことも頭に入れておかなければならない。

トータル4アンダー・暫定8位で2日目を終えた工藤遥加も、東松苑GCの予選会にエントリーするひとり。第2ラウンドを9ホール消化した時点で上位につけ、予選通過目前とあって“もしもの場合”を想定してしまう。賞金総額3億円、優勝賞金5400万円の高額大会と女子オープンとの“天秤”になるわけだが、その答えは「アースに出ます」。やはり目の前の試合を捨てるわけにはいかない。「試合があることがありがたいし、(予選会断念は)仕方ないですよね」。まずはここで全力を尽くすつもりだ。

話を聞けた選手は、決勝ラウンドに進出した場合は「当然、こっち(アース)に出ます」という橋添穂や、「迷わず、こっち(アース)です」という新海美優のように全員が最後まで戦う考え。ただ、新海がその後に「(予選会を)振り替えできないですかね」と言ったように、やはりそれぞれ心残りもある。「まだエントリーできる(予選会の)会場がある」という橋添のように、別の道を模索する選手がほとんどで、中断時間には該当選手たちが相談をしていた様子も聞かれた。

確かに7月9日開催のDブロック(三重県・伊勢CC)と、7月29日に行われるEブロック(兵庫県・三甲GCFジャパンC)のエントリー締め切りは、それぞれ6月25日、7月16日とまだ期間は残っている。ただ、日本女子オープンを主催する日本ゴルフ協会(JGA)によると、両会場ともすでに定員に達しており、キャンセル待ちの状態。実質、この道も閉ざされていることになる。

このアース・モンダミンカップは、メジャー大会以外の、いわゆる“平場”と呼ばれる通常大会で『規定ホールの完遂』を目指し予備日が設けられている唯一の大会。他にも予備日が設けられている平場の大会はあるが、それはいずれも3日間大会なら27ホール、公式競技を除く4日間大会は36ホールと定められている『競技成立』のために設けられているものだ。つまり今大会は全選手が日曜日の時点で72ホールを終えることができなければ、原則、月曜日まで持ち越しになる。

なかには吉田弓美子のように、「女子オープンに出られなければ、私はステップの試合に出ます(同週開催のSky レディースABC杯)。出られる試合が少ない私にとって、ここはボーナスステージだから(笑)」と、完全に割り切っている選手の様子もうかがえた。また、日本女子オープンの出場資格のなかには、『今季のツアー優勝者』や『8月12日時点のメルセデス・ランキング30位以内』などもあるため、次はそこに向け全力を注ぐ。

JGAによると予選会の振り替え開催は予定しておらず、該当選手たちは月曜日まで戦うことになれば、腹をくくって最後までプレーを続けることになる。今大会を公認する日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)と、日本女子オープンを主催するJGAという団体の違いもあり生じた“悩ましい選択”。高木優奈の「困る~。なんとかならないかな」というのが、選手たちの本音だろう。とにかく“日曜日に無事試合が終わること”を願うばかりだが…。(文・間宮輝憲)

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