横浜市が特殊詐欺対策を呼びかけるチラシを約94万人に配布 「ナッジ」を活用し対策強化へ 横浜市中区・横浜市西区・横浜市南区

チラシの表のデザイン=市提供

横浜市では、特殊詐欺への対策を呼びかけるチラシを6月13日から介護保険料額決定通知書に同封している。65歳以上の第1号被保険者約94万2千人に順次発送される。

息子や孫をかたり現金をだましとる「オレオレ詐欺」や、還付金の手続を装ってATMへ誘導し操作させる「還付金詐欺」の被害が多発している。市によると、2023年は特殊詐欺が市内で933件発生し、暫定値で約20億7200万円の被害があった。神奈川県内の被害を人口比で考えると、神奈川県の約40%の人口の横浜市が被害件数、被害額ともに45%以上を占めている。

詐欺は電話に出てしまったことから始まるものが多く、留守番電話に設定しすぐに出ないようにするなどの対策が有効とされる。

対策を呼びかけるチラシは15年度から同封しているが、人の行動や特性に注目し、強制力を伴わず望ましい行動を促す「ナッジ」を活用したデザインは今回が初めて。

一見して詐欺に関するチラシとは分からないデザインにすることで、詐欺に気づくのは難しいと実感させ、留守番電話に設定するという具体的な行動を促すデザインになっている。

作成にあたり、科学警察研究所犯罪予防研究室長の島田貴仁さんと「横浜市行動デザインチームYBiT」が協力した。YBiTは、19年に地方自治体では日本で最初に設立されたナッジユニットで、行動科学の知見をふまえて行政実務の改善に取り組んでいる。

市職員は「県内の他の自治体と比べて横浜市は特殊詐欺の被害が多い傾向がある。一件でも被害を減らしたい」と話した。

チラシの裏のデザイン=同

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