【守り紡ぐ・県警発足70年】父に憧れ、思い継ぐ兄弟

父の姿に憧れ同じ道を歩んだ雄真さん(左)、和真さん

 親の背中を見て育ち、同じ道を歩み始めた2人の警察官がいる。父がいつも口にしている「常に一所懸命」の思いを引き継ぎ、県民の安全・安心を守るために奔走している。

 機動隊の根本雄真さん(25)=巡査長、弟の和真さん(22)=巡査=にとって、父で県警察学校教官の根本誠司さん(52)=警部補=は幼少期から憧れの存在だった。

 幼い頃から身近に

 誠司さんが県警の剣道特錬で監督を務めていた縁で、2人は幼い頃から若手警察官らと共に朝練習などに参加。そんな2人が警察官を目指すのは自然なことだった。「同じ道を進んでくれたのはうれしかった」と誠司さんは語る。

 高校卒業後に警察官となった2人は、現場で多くの経験を積む日々だ。雄真さんは初任地の須賀川署で2019年、東日本台風に対応した。阿武隈川の氾濫に伴いボートで取り残された住民の救助などに尽力。今年1月には能登半島地震を受けて現地で活動した。和真さんも今年3月に機動隊に配属される前に被災地に派遣され、警ら活動などに当たった。

 被災現場の活動経験

 被災地での活動で2人は先輩隊員らの頼もしい姿を目の当たりにした一方、自身の知識や技能の足りなさを痛感した。「冷静に現場で判断できるように訓練を積むしかない」と口をそろえる。くしくも誠司さんが機動隊に所属していた20代の頃、豪雨災害などの数多くの現場で活動。機動隊の先輩たちの行動や立ち居振る舞いに「『自分も同じように行動しなきゃ』と感じた。気付きを与えてもらった」と話す。世代を超えて親子は同じ思いを経験した。

 警察官が県民を守るために何を大切に考えるか。誠司さんが父親として、警察官として、自らの経験を踏まえて2人に言い続けてきた言葉がある。その言葉を雄真さんと和真さんは、大切にし続けている。「人が見ていようが、見ていまいが、常に一所懸命やれ。どこかで誰かが見ていてくれる。困った時に声をかけてくれるから」

 常に県民のために全力で。その思いは親から子に、確実に受け継がれている。

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