県産裸麦のアルコール飲料続々登場 中南予の企業や団体が販売 ビールやウイスキーで認知度拡大

世界的にも珍しい裸麦80%使用のウイスキー「ひめの琥珀」

 生産量全国1位を誇る愛媛県産裸麦を使ったアルコール飲料が次々と登場している。九州に出荷され、みそや焼酎の原料となることが多い県産だが、クラフトビールやウイスキーが認知度拡大に一役買っている。

 松山市立花3丁目の就労継続支援B型事業所リハスワーク松山は今春、オリジナルクラフトビールを発売した。県産裸麦を副原料にして神戸市の醸造所でビールを造り、事業所利用者がラベル貼りや出荷前の箱詰めを担当。販売で得た収益は全額が利用者の工賃に充てられるという。

 運営するソラスミソン(松山市)の仙波久武社長(48)は「障害者の工賃向上や県産品認知度アップなどを目指した」と狙いを説明する。厚生労働省によると、2022年度の就労継続支援B型事業所利用者の平均月額工賃は約1万7千円。自立には引き上げが必須との思いで事業化した。

 「長く継続するため、障害者が関わるといった話題性抜きで勝負できるよう味やデザインにこだわった」と仙波社長。爽快なのどごしとマイルドで癖がない味わいがバイヤーの目に留まり、伊織松山お城下店(同市大街道3丁目)や、イオンスタイル松山(同市天山1丁目)で扱われている。1本(330ミリリットル)880円。裸麦とは別に、岩城島産レモンの皮を使ったビールも販売している。

 ウイスキー「ひめの琥珀(こはく)」も誕生。地域活性化の起爆剤として開発した小谷酒店(大洲市)の小谷順一社長(66)によると、裸麦の使用自体が珍しい上、原料の8割に相当しており、世界的にも希少という。小谷社長は、21日に県庁であった報告会で「しっかりとした穀物の香りが楽しめるのが特長だ」と紹介。次回生産に向けて8月に実施するクラウドファンディングの返礼品として入手できる。

リハスワーク松山の利用者がラベル貼りなどを担当した県産品使用ビール
コクや香ばしさと、すっきり感を両立させた東温市観光物産協会の黒ビール「はだか麦スタウト」

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