研究班「歯牙欠損」に着目 身体機能へ影響か カネミ油症・次世代調査

次世代健康調査の分析結果について報告があった油症対策委員会=福岡市内

 カネミ油症を巡り、全国油症治療研究班(事務局・九州大)は21日、2021年度から進める認定患者の子や孫らを対象とした次世代健康調査の分析結果を報告。先天性異常の調査で、「歯の病気」のうち「歯牙欠損」の症状が目立つ傾向にあることが分かった。油症被害が、油症2世の身体の機能に影響を及ぼす可能性を示唆する報告もあった。
 福岡市内で開かれた油症対策委員会で、4月に同研究班長に就いた油症ダイオキシン研究診療センター長の中原剛士・同大大学院医学研究院教授が説明した。
 先天性異常の調査は、21~23年度の調査に応じた次世代440人のうち、292人が分析対象で、調査結果と先天性異常データベースの統計結果を比較。14項目のうち、早産、低体重など「出産出生に関して」が5.2%(20人)。これに次いで「歯の病気」が4.9%(19人)とのデータに着目した。
 「歯の病気」のうち「歯牙欠損」が16人と突出し、「エナメル質形成不全」が2人、「過剰歯」が1人-の順。自由記述では「歯並びが悪い」「親知らずが生えてこない」「歯列がバラバラ」「歯の欠損がある」-といった記載があった。
 報告を聞いた患者からは、次世代の油症認定の基準緩和を訴える声も。中原班長は今後の次世代調査について「推進」の立場を示しつつ、「(次世代はダイオキシン類の)血中濃度が高くない傾向にある。親世代と同じ基準をそのまま当てはめることはできないことも分かりつつある」と指摘。歯の症状を含め次世代向けの基準を探る症状の調査、検討を引き続き進める考えを示した。
 最新の油症治療研究報告では、油症2世の卵巣予備能が健常女性と比較して低い傾向にあり、「油症暴露が影響を及ぼす可能性が示唆された」とした。

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