石木ダム2025年度までの完成見直し 総事業費285億円も 長崎県知事

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム建設事業について、大石賢吾知事は21日、285億円の総事業費と2025年度までの完成時期の見直し作業を進めていると明らかにした。本年度は県公共事業評価監視委員会が事業を再評価する予定で、県は計画の最終的な精査に入っている。
 県議会一般質問で前田哲也議員(自民)に答えた。
 同委員会は19年度、事業の完成目標を25年度に延長することを承認。それから5年が経過し、事業は本年度の再評価の対象となっている。
 大石知事は「(反対する)13世帯の理解と協力を得て進めることが最善」とした上で、「人件費や資材価格の高騰、建設業における働き方改革に加え、反対住民による妨害活動の影響などを踏まえて見直し作業を行っている」と答弁した。一方、ダム周辺の地域振興策について、道路や公園の建設などを検討しており、水源地域整備計画の素案を「本年度のできるだけ早い時期に公表する」とした。
 牧山大和議員(改革21)は事業に反対する市民団体が10日、大石知事宛てに提出した要請書について質問。治水や利水、環境の専門家を同委員に任命するよう求めているのに対し、中尾吉宏土木部長は「個別事業の特性に応じた専門家を委員として任命することは考えていない」と答弁した。

© 株式会社長崎新聞社