ロケットスタートに妙技ウォーターショット… 渋野日向子の「ドラマのある18ホール」

渋野日向子は上位で決勝へ(撮影:南しずか)

<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 2日目◇21日◇サハリーCC(米ワシントン州)◇6731ヤード・パー72>

4位タイから出た渋野日向子は、2日目も「70」をマーク。首位と2打差の3位タイと優勝争いに加わり、週末へ向うことになる。スコアカードは4つのバーディ、2つのボギーに12個のパーを記入。だが、この数字以上に「かなりドラマのある18ホール」だった。

いきなり3連続バーディの「ロケットスタート」だった。初日にナイスボギーとした10番では2.5メートル。11番パー5では上6メートルを流し込み、12番はユーティリティで手前2メートルにつけた。

手前7メートルからバーディトライした13番パー3は、残した1メートルのパーパットが蹴られて3パットのボギー。「打ち出したいラインには出せてて、上りを忘れて打っちゃった。だいぶショートしたけど、引きずることなくできた」。ブレーキをかけられても、序盤のいい流れは続いていく。

15番ではバンカーから3メートルと寄せきれなかったものを、16番では傾斜でグリーン手前に戻り「かなり大きかった。耐えるところは耐えて、本当にしぶとく取れてよかった」と4メートルオーバーしたパーパットを決めた。

折り返し直後の1番でさらに伸ばすと、2番パー5でこの日のハイライトが生まれる。残り90ヤードの3打目はダフり、グリーン手前の池につかまった…と思いきや、残っていた。「遠くからでもボールが見えていたから、(岩の)あいだに入ったのかなと思って。行ってみないとなと思ったけど、意外と砂だった」。そのボールは「浮いている感じでめちゃくちゃラッキーだった」と打てる状態。フェースを開いた58度ウェッジでの“ウォーターショット”で、1.5メートルにつけてパーで切り抜けた。

「イメージは湧かしに湧かした(笑)。完璧と言ってもいいくらいの(ショット)。パーセーブできると思っていなかった。3打目ダフるのなんとかしろ(笑)」。ラッキーからの自画自賛ショット。いつもの自虐節で笑って振り返る。

このあともスコアを落とすことなく、ロングパットは2パットに収め、パーオンを逃したところはアプローチで寄せると手堅く歩んでいく。フェアウェイバンカーに入れた8番ではユーティリティを選択し、アゴを越え、せり出す木のスレスレを通過させ、花道から転がして乗せた。そんなアグレッシブなプレーで、ギャラリーからの歓声を何度も引き出していく。

最終9番では4メートルを沈めてナイスボギーセーブ。「2番がパーセーブできたから、最後がボギーだったのかもと思います(笑)」。耐えて伸ばして、そして“魅せた”18ホールだった。

「この位置で決勝ラウンドを迎えられるというのは、すごく良かった。まだまだ頑張れるなって思えます」。「全米女子オープン」では“復活”の2位。大舞台にめっぽう強いとも言われるスマイリング・シンデレラ。その笑顔とともに、ムービングデーは2打差を追いかける。(文・笠井あかり)

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