【ガーデニング】育てて楽しいハーブ【センテッドゼラニウム】の栽培方法と活用アイデア2選

「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。今回は【センテッドゼラニウム】です。

本連載の他、桐原春子さんの記事は↓↓

見て、飾って楽しむハーブ【センテッドゼラニウム】

ハーブというと食用をイメージしがちですが、暮らしの中で、見て、飾って楽しめるのもハーブの大切な要素。

センテッドゼラニウムはそんなハーブのひとつです。

別名/ニオイテンジクアオイ(和名)、ニオイゼラニウム
科名/フウロソウ科
性質/常緑低木
樹高/30~100cm

いろいろな香りの葉をブーケやクラフトに

センテッドゼラニウムとは、葉に強い芳香があるゼラニウムのことで、花を観賞するゼラニウムと区別するために、こう呼ばれています。

香りは種類によってさまざまで、バラの香りをもつローズゼラニウムがよく知られ、葉に含まれる精油成分は、化粧品などの香料に利用されています。他にもレモンゼラニウム、アップルゼラニウム、シナモンゼラニウム、ヘーゼルナッツゼラニウム、ペパーミントゼラニウムなど、いろいろな種類があります。

桐原春子さんによると、「香りがよく、常緑で一年中利用できます。葉に印象的な模様が入るものもあり、葉も花も美しいので、ブーケやポプリ作りに欠かせません」と、その魅力は豊富。

「英国では、ビクトリア女王の時代から人気が高く、今もいろいろなセンテッドゼラニウムをコレクションし、窓辺に並べています。風が吹くとよい香りが漂ってとてもいい気分。日本でも多く種類がそろいます」

桐原さんはお菓子の香りづけやクラフトにも盛んに利用しているそう。

「葉を切り取って布などに貼り、額縁に入れて飾ったり、ローズゼラニウムなどローズ種はパウンドケーキやクッキーを焼く際に葉を貼りつけ、香りを移したりしています」

日光と水はけのよい土壌が大好き

センテッドゼラニウムは日当たりのいい場所を好み、強い寒さと夏の高温多湿が苦手なので、鉢植えで管理するのがおすすめ。

「種類によっては植えたままだと株が乱れるので、花が終わったら剪定して樹形を整えます。寒冷地では、冬は日当たりのよい室内に鉢を置いて。害虫はコガネムシの幼虫が根を食べるので注意が必要。また、挿し木で増やせます」

苗を寄せ鉢に

ローズゼラニウム、‘レディープリマス’ 、‘スノーフレーク’ など、7種のセンテッドゼラニウム。その小さな苗をひとつのバスケットにまとめて、寄せ鉢のスタイルに。葉に触れると、いずれも個性的な香りが立ちのぼります。

ローズゼラニウム(下)のように、斑紋が入る花も華やぎがあって素敵です。

活用アイデア① エッグポマンダー&タッジーマッジー

ポマンダーとは香りを詰めた容器のこと。イースターにちなみ、卵を使ってカラフル&元気に仕上げました。香りのよいハーブとともに、小さな鈴を入れても楽しいもの。

疫病から身を守るとされるハーブの花束、タッジーマッジーには、6種類のセンテッドゼラニウムとバラを合わせています。

エッグポマンダーの作り方

❶卵の中央のふくらんだ部分に、ナイフの先などで直径2㎝ほどの穴をあけ、中身を出す(卵の中身はスクランブルエッグなどに利用するとよい)。

❷①の卵の殻の穴に食器用洗剤を1滴入れる。指をそっと入れ、流水で洗い流す。

❸②を穴を下にしてざるに並べて太陽に1日干し、内部まで乾燥させる。

❹③の穴に、ドライのセンテッドゼラニウムの葉やドライのラベンダーなど、好みのハーブを入れる。ペーパーウエートにする場合は、小石を入れる。

❺穴より大きな布を接着剤で貼りつけ、穴をふさぐ。卵の表面に油性ペンや水彩絵の具で絵を描いたり、布を接着剤で貼るなどして、自由にデコレーションする。最後に、センテッドゼラニウムの葉を接着剤で貼りつける。

卵の殻に穴をあけたところ。

活用アイデア② りんごとさつまいものバター煮

りんごとさつまいもを煮詰めたこの一皿は、桐原家の定番スイーツ。りんごはほどよい歯ごたえが残り、さつまいもはほっくりで、ローズゼラニウムの葉がほんのりと香ります。

食べる直前にレンジで温めてからアイスをのせると、とろけるおいしさです。

作り方(作りやすい分量)

❶りんご大1個は皮をむいて芯を取り、8等分に切る。さつまいも1個は皮をむき、7㎜程度の輪切りにする。

❷鍋にりんごとさつまいもを並べ入れ、水120㎖ときび砂糖大さじ2、バター10gを入れて中火にかけ、煮立ったら弱火にする。

❸さつまいもに火が通ったら、火を止めてローズゼラニウムの葉1枚を入れ、余熱で香りづけする。

❹③を皿に盛り、好みでシナモンパウダーを振り、バニラアイス適量と飾り用のローズゼラニウムの葉1枚を添える。

撮影/川部米応

※この記事は「ゆうゆう」2020年4月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

※2023年10月8日に配信した記事を再編集しています。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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