元祖二刀流騎手・熊沢重文氏が伝授!障害馬の見方「馬体を見るより…」 ダービー制覇の同期・横山典弘へもエール

 熊沢重文氏

 JRA通算1051勝のうち、障害は257勝で歴代最多を誇る元祖二刀流・熊沢重文氏(56)が22日、東京競馬場へ来場。デイリースポーツのインタビューに応じた。

 初対面にもかかわらず「何でも答えますよ!」とほほ笑みかけてくれる、気さくな人柄。一気に緊張が解けた。

 3月から競馬担当に異動してきたばかりの記者に、障害馬の見方を伝授してくれた。二刀流のレジェンドは、血統と成績を重視。「成績の中でも、楽に先行できているかというのが大きくて。障害はどうしてもレースが落ち着くので先行有利。差してくる馬ってなかなかいないので、先行力のある馬に目をつけておくのがいい」と力説。馬体はあまり気にしないというが、「障害馬の方がバランスが重要。スマートに逃げるという馬の方がいい」と教えてくれた。

 昨年11月、惜しまれつつ現役引退。最も目標にしていたというJRA障害歴代最多勝利を獲得する大活躍を果たすも「デビューした頃は、ここまで来ると思っていなかった。ありがたい。そのうち抜かれるんじゃないですかね?」と照れ笑い。後輩の活躍はうれしいと目を細め、「悔しい気持ちはあるけれど、障害が発展していくためには後輩が出てくることは喜ばしいこと。逆に言ってみれば『(この記録まで)来られるもんなら来い!』」と、ドンと構える姿勢を見せた。

 取材終盤、同期の横山典弘騎手(56)=美浦・フリー=がダノンデサイルでダービーを制したことに話が及ぶと、「(ダービー)3回目だからね、もうええやろ!」とニヤリ。最年長のダービージョッキー誕生に感化されたといい、「僕が引退した後にダービーを勝ってくれて、すごくうれしいですし、僕も励みになる。もっと頑張ってほしい」と、ターフで奮闘する同志へエールを送っていた。(デイリースポーツ・野里美央)

 ◇熊沢重文(くまざわ・しげふみ) 1968年1月25日、愛知県刈谷市出身。栗東・内藤繁春厩舎から86年3月に騎手デビュー。平地と障害の二刀流として活躍し、88年にコスモドリームのオークスで重賞初制覇。91年有馬記念(ダイユウサク)、05年阪神JF(テイエムプリキュア)、12年中山大障害(マーベラスカイザー)など、重賞33勝を含むJRA通算1051勝。うち障害は257勝で歴代最多を誇る。23年11月に現役引退。

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