「天空の城」へ4年ぶりに帰還 J1アビスパ福岡・小田逸稀が古巣町田との激闘に感慨「シカトされるかと思ったけど…」

前半、右からのCKから頭でシュートを狙う福岡・小田(左から2人目)(撮影・冨永豊)

◆明治安田J1第19節 町田0―0福岡(22日・町田GIONスタジアム)

J1アビスパ福岡の小田逸稀が古巣のゴールを脅かした。前半38分、右CKに対してニアサイドに飛び込み、得意のダイビングヘッド。ゴール右隅を狙った絶妙な一発は日本代表GK谷晃生に阻まれ、右ポストにも当たって惜しくも決まらなかった。2020年に当時J2の町田でプレーした25歳は「難しいヘディングが得意なのは、町田の皆さんなら分かるんじゃないですか。狙い通り。でもさすが日本代表ですね、あっぱれです」と脱帽した。

20年はJ1鹿島から期限付きで移籍し、38試合に出場して3得点。鹿島でなかなか出場機会をつかめずにいた小田にとって、プロとして自信をつかんだシーズンだった。「1年間だったけど、J1の舞台を目指してしっかり戦ってきた場所であり、チームだった。J1の舞台でしかも首位になっているし。チャレンジャーとして戦えたことはすごく感慨深いというか、良かった」と浸っていた。

古巣とはJ2千葉でプレーした21年に対戦しているが、当時は千葉のホーム。「天空の城」の異名がある町田GIONスタジアムには4年ぶりの帰還だった。4年前はバックスタンドがまだ増築工事中で、20年に行われたJ2町田―福岡戦の入場者数はわずか1008人。J1首位に立ち、9092人入った今とは演出も含めて盛り上がりは違うが、小田は「良い意味で変わっていない」と懐かしんだ。

「1年しかいなかったので、試合後(町田サポーターへ)あいさつに行ったときにシカトされるかもしれないと思ったけど、拍手で迎え、頑張れという声を届けてくれた。本当に感謝しかない」と繰り返した。

スコアレスドローで痛み分けた試合を「アウェーで首位から勝ち点を持って帰れたことは自分たちを評価していい」と胸を張る。同時に古巣の快進撃に刺激された。「自分が在籍したチームが今独自のスタイルでJ1を引っ張ってきている。誇らしい気持ちと、僕も負けたくないなという気持ちです」。アビスパは6位以上を目指し、小田自身は5ゴール5アシストが目標。「チームは前半戦以上に勝ち点を取っていく。個人としてはまだ1ゴール1アシストで全然足りていない。自分の課題や長所を伸ばして得点に絡めていけるようにやっていきたい」と古巣に負けない成長を誓った。(末継智章)

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