西武・今井達也、前回流した涙と行動の真相「うれしさもありました」 最下位からの逆襲へ求める情熱 21日に先発

6月11日広島戦の9回、ベンチから声を出す西武・今井(撮影・大泉謙也)

西武の今井達也投手(26)がリーグ戦再開となる21日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で先発を託された。試合後に悔し涙を流した11日広島戦(ベルーナドーム)以来の登板。このほど当時の思いを明かした右腕は「とにかくチームが勝てるように」とチームの4連敗、さらには最下位からの脱出に向けた思いを語った。

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11日の広島戦。1点差を追う9回2死二塁の同点機で、一ゴロに倒れた源田壮亮が一塁上でうずくまった。今季ワーストタイの8連敗。7回2失点で降板し、ベンチで戦況を見守っていた今井が源田を迎えに行く姿は、多くのプロ野球ファンの心を打った。

今井は涙を流していた。グラウンド上では「(栃木・作新学院高3年だった2016年夏に)甲子園で優勝したとき以来じゃないですかね」。自然と出た涙と同じく、考えるより先に体も一塁へ向かっていた。「調子が良いときに声をかけてくる人って普通にいるけど、調子が悪いときに声をかけてくれる選手の方が僕は大事だなと思っているので。人が落ち込んでいるときに手を差し伸べてあげられるかどうかで、その人も変わると思う。体が勝手に動きました」

突き動かしたのは悔しさだけではなかった。「連敗中の雰囲気を何とか自分が変えたいという気持ちを見て分かるぐらい出している選手が少ないな、と思っていた。その中で最後に(源田が)ヘッドスライディングをして。同じ気持ちでプレーをしているキャプテンがいた。なんかうれしさもありました」と明かした。

17年にドラフト1位で入団した今井は2年目の18年から1軍で登板。先発ローテーションの一角として高橋光成らとともに、同年と19年のリーグ連覇を味わった。20日時点の出場選手登録選手で1軍として当時の優勝に関わったのは、投手では2人と松本航、本田圭佑だけ。野手を含めても10人しか体験していない。

「優勝したときのうれしさを味わったことのない選手が多い。それは味わった人にしか分からない。もう一度味わいたい気持ちが僕もですし、(源田)キャプテンも強いと思う」。昨年自身初の2桁勝利をマークし、先発の柱として臨む今季。「前回優勝したときは打って勝ったチームで、僕らはどちらかというと勝たせてもらった。今度はピッチャーで勝ちたい気持ちが強い。そのためにどうやったらチームが強くなるのか、僕より年下の選手がどうやったら野球に対して貪欲になってくれたりするのか」と、源田や選手会長の外崎修汰と話す機会が増えている。

1月の球団施設での自主トレ期間中も若手投手に熱心にアドバイスを送る姿が何度もあった。「チームで戦うスポーツなので、自分だけでなく全員でうまくなっていかないと」。すべては再び優勝できるチームになるために。率先して外へ発信するタイプではないが、人並み以上の情熱と覚悟を持って最下位からの逆襲に挑んでいく。(末継智章)

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