退職金で自宅解体、56歳の決断 叶えた夢は“デカ盛り弁当屋” 料理人に反対した父の名前をトレードマークに 富山県高岡市

子どもの頃から料理好き。でも料理とは無縁の仕事を36年間続けてきた。56歳で退職金をつぎ込み自宅を解体、夢の弁当屋をオープン。 そのトレードマークに採用した“ゴリラ”。名付けた「としお」という名前は、料理人になることを反対した父の名前でした。

4月にオープンした富山県高岡市の弁当店「ゴリラのたまご」。店先で笑みを浮かべるゴリラのマネキンがトレードマークです。

子連れで訪れたお母さん: 「よくここ通るのでずっと気になっていたんです。(子供が)大好きなハンバーグとかボリュームのある弁当なのですごく楽しみにしています」

子供:「ハンバーグが柔らかくておいしかった」

お店の看板メニューはハンバーグ。

7種類あるすべての弁当がボリューム満点でガッツリ食べたい人にも好評です。

店長は丸岡利徳さん。

基本的に一人で店を賄っています。丸岡さんの1日は、朝5時から。まずはゴリラを店先に。

店長・丸岡さん: 「このゴリラは可動式のマネキンの着ぐるみなんですよ。おれの親父の名前が『としお』なんで『としおくん』っていうんですけど。誰にも公表してないですけど」

次は看板メニューのハンバーグを仕込みます。ハンバーグの“タネ”には隠し味にマヨネーズを入れ、全身を使ってこねるのがポイントだそう。
丸岡さんのこだわりはボリューム。

一般的な弁当のハンバーグ1つの重さは100グラム程度ということですが、丸岡さんの作るハンバーグは約180グラム。それを大きなフライパンで6個まとめて一気に焼き上げます。

甘酢やタルタルといったメニューは、ネットで情報を集め、自分の舌を頼りに改良を重ねてオリジナルレシピを完成させたそう。

実は丸岡さん、2024年3月までは運送会社で重機オペレーターをしていました。いわゆる“脱サラ”です。

店長・丸岡さん: 「小さい時から料理が好きで、小学生の時にクリスマスに家族にチキン焼いてみたりだとか、オードブルまがいなものを作って母親父親に食べさせたり」

小さいころから料理が好きで、高校卒業後は料理人を目指そうとしましたが…。

店長・丸岡さん: 「親に言うたら水商売はだめやいうて反対されて、今思えば親を押し切るほど料理人になるという決意ができてなかったというか、親を押し切ってまでの気構えができていなかったので」

父親に反対され、運送会社に就職。料理は子どもの運動会や誕生日会などでふるまう程度でした。しかし、両親が他界し、コロナ禍で自分の人生を見つめ直したとき、料理人になりたいという気持ちが強くなったといいます。

その想いを知った妻・ゆきこさんはー。

妻・ゆきこさん: 「私がお店でもやれば?っていったら、やろうかなって」

この気軽とも思える一言が背中を押しました。

36年間勤めた会社を退職し、退職金をつぎ込んで自宅を解体。子どもたちに弁当を作っていた経験を活かして弁当屋をはじめることにしました。

2024年4月13日オープン。丸岡さんは長年の夢を叶えました。

週末は、ゆきこさんがレジや予約の電話を担当し、丸岡さんは弁当作りに専念します。

記者:「阿吽の呼吸ですか?」 店長・丸岡さん:「そうですね」 妻・ゆきこさん:「そうそう。(バックヤードで)うまい具合に体こうやったりして、後ろをすり抜けて」

この二人を見守るのが父親の名前から名付けた「ゴリラのとしおくん」。

店長・丸岡さん: 「名前をつけて、親父もここにおるよみたいな、おってくれよみたいな想いで、俺は親父の名前をつけました。(弁当店やるって)知っとったら反対もしたかな、どうやろうね。もう大人なっとるから『好きなことやれ』っていうたかもしれんし」

目立つ立地ではありませんが、住宅街に堂々と構える弁当店「ゴリラのたまご」。
脱サラして夢をかなえた料理人が、毎日奮闘しています。

店長・丸岡さん:
「(オープンして)まだ2か月ほどしか経たないですけど、おいしかったよって言って頂けるお客様も何人かおられるんで、それが一番やっぱり励みになります。今はもう夢の中ですから、最高に楽しいです」

「ゴリラのたまご」
住所:高岡市角394-4
営業時間:11-14時、16-20時
定休日:火曜

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