ヤマナミ麺芸社、多彩なラーメンなど7業態の店 不断のレシピ開発で成長【大分県】 キニナルおおいた

麺もスープも異なる7業態を展開するヤマナミ麺芸社の吉岩拓弥社長=大分市日吉町
「ふくや」の特製元(はじめ)ラーメン=別府市
ヤマナミ麺芸社が手がける7業態のロゴマーク

 濃厚とんこつの「ふくや」、極太麺の「太一商店」、こだわりみその「味噌乃家(みそのや)」…。それぞれ県内で親しまれているラーメン店で、一度は足を運んだ人も多いのではないか。そんな麺も、スープも異なる7業態を一つの会社が運営している。1994年創業のヤマナミ麺芸社(大分市日吉町)だ。県内外にファンを増やし、2023年9月期の売上高は過去最高の24億円を記録した。

 別府市出身の吉岩拓弥社長(45)は、創業者の父が亡くなった2003年に経営を継いだ。

 当時はふくやなど4店のみだった。「多彩なラーメンがあった方が喜ばれる」。全国各地の店を食べ歩き、試行錯誤してバリエーションの拡大に力を注いだ。現在は大分、福岡、熊本、鹿児島4県でラーメンを中心に飲食計34店を営む。

 右肩上がりで成長を続けてきた秘訣は、不断のレシピ開発だ。

 アンケート用紙やインターネットを通じて、来店客からは味やサービスに関するさまざまな感想が寄せられる。7業態の店それぞれがオンラインで共有し、幹部ら約10人が1~2カ月に1回は集い、意見を参考にしながら新しいタレやスープを研究。メニューに反映している。

 ストレート、極太、ちぢれなど、培ったさまざまなタイプの製麺技術を生かし、14年には同業者向けの販売も始めた。供給先はライバル店を含む県内外の258店に上り、売上高の15%を占める新たな経営の柱に育った。

 人口減少でラーメン業界も競争は激しさを増す。吉岩社長は「1社で顧客を囲い込む時代ではない。業界全体を盛り上げることの方が大切だ」と強調する。

 近年は消費期限を長くできる食品加工の分野にも進出。福岡県の辛子高菜製造会社などのM&A(合併・買収)を進めており、首都圏をはじめとする遠方に大分や九州の味を届けていく考えだ。

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 県内の中小企業や農林水産事業者のユニークな事業展開、新しい商品、サービスといった経済トピックを発信するコーナー「キニナルおおいた」を始めます。

 

<メモ>

 ヤマナミ麺芸社がほかに展開するラーメン店は、ファミリー向けの「麺堂香(かおり)」、濃厚しょうゆとんこつ「馬力屋」、冷麺で知られる「芳華(ほうか)」、福岡県那珂川市が拠点の「二代目長浜将軍」。

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