山の中で動く「黒いもの」発見 近付くと、 頭から血を流す高齢者 登山中の会社員通報、一命取り留める

感謝状を受け取った小高さん(中央)。右は小西勉署長=21日午前、西入間署

 埼玉県越生町の登山道で倒れていた高齢男性の人命救助に貢献があったとして、西入間署は21日、鴻巣市の会社員小高秋夫さん(64)に感謝状を贈った。

 小高さんは5月17日、上尾市内の病院で年に1度の人間ドックを受けた後、越生町へ山歩きに向かった。「明るいうちに戻ろう」と、同町黒山の登山道を下山していた午後4時50分ごろ、前方の道の中央付近に「黒いもの」が見えた。近づくと高齢の男性で、頭部から血を流して倒れていた。

 「大丈夫ですか」。そんな声掛けを試みたものの、応答がなかった。ただ、よく確認すると、腹部が動き呼吸をしているように見えた。小高さんは携帯電話で119番し、消防隊の到着を待った。

 同署によると男性の命に別条はなく、現場の状況から転倒した可能性があるとみられるという。小高さんは「人がほとんど通らないような所。夕方が近かったので発見できて良かった」と振り返る。

 小高さんはコロナ禍が始まったころから健康維持のために山歩きを始め、普段は週1回ほど、同町や東秩父村の山を訪れているという。

 小西勉署長は「人通りが少ない登山道で速やかに通報し、救助につなげてもらったことが一命を取り留める大きな要因だったと思う」と話し、「山岳事故は命に直結する。登山を楽しむ人は事前に登山計画を立て、低山でも装備を整えてほしい」と呼びかけた。

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