青森県内企業の74.3%が賃上げ意向 アップ率は平均3.53% 東奥日報・ACP共同調査

 青森県内企業の74.3%が2024年度に賃上げする意向を持っていることが、東奥日報社とあおもり創生パートナーズ(ACP)が共同で実施した県内企業調査で分かった。平均賃上げ率は推計3.53%。新型コロナウイルス禍が収束後、経済活動が正常化するとともに人手不足が顕在化しており、就労意欲の向上や物価高への対応、離職防止などを理由に、県内でも賃上げの動きが広がっている。

 500社近い県内企業を対象とした共同調査は、本年度から初めて取り組んだ。ACPが以前実施した調査結果と比較すると、賃上げを予定する企業は23年度より3.9ポイント上昇し、2年連続で7割を超えた。賃上げ予定企業は、アベノミクスによる好況期に当たる18年度が62.6%、19年度が66.1%と6割台で推移。20~22年度はコロナ禍のため調査していないが、コロナ収束後から賃上げ意欲が高まったことがうかがえる。

 平均賃上げ率は、23年度より0.05ポイント上昇し、2年連続で3%台半ばの高水準を維持した。18年度は1.67%、19年度は1.53%にとどまっていた。予定する賃上げ幅は「2~3%」が28.8%で最多、「4~5%」23.3%と続く。中には「10~20%」1.3%、「20~30%」0.4%と大幅にアップする企業もあった。

 賃上げの内容(複数回答)は、年齢や勤続年数に応じて上がる定期昇給が71.6%でトップ。次いで、基本給の水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)が46.5%と半数近くに上った。人材確保に向けた新卒者の初任給増額が21.8%、賞与(一時金)の増額が16.5%、各種手当の増額が11.9%、賃金制度の見直しによる増額が9.5%などと続いた。

 賃上げする理由(同)は、「勤労意欲・満足度向上のため」72.8%、「物価高への対応」56.4%、「職員の離職防止・定着率向上」55.6%などが多かった。

 一方、賃上げしない理由(同)は、「電気・燃料費の高騰」が43.2%と最多で、次いで「事業の先行き不安」35.1%、「業績悪化」32.4%など。「財務体質改善・強化を優先」27.0%、「コスト増加分を価格転嫁できていない」24.3%など、経営の厳しさから賃上げする余力がない実情も浮かび上がった。

 ACPの松田英嗣取締役は「県内企業に賃上げが広がってきており、かなり頑張っている。賃上げ率は全国の中小企業並みと言っていい。人手不足への対応や社会的な要請に応じる形での賃上げが多く、来年、再来年も続けていくためには、どう労働生産性を高めていくかが課題になる」と述べた。

© 株式会社東奥日報社