都知事選の投票率アップへ一役 千葉大が投票済証をデザイン 墨田区と連携、「富嶽三十六景」イメージ

千葉大学と東京都墨田区が連携して作った投票済証(区提供)

 千葉大学がサテライトキャンパスを設置している東京都墨田区と連携し、20日から舌戦が始まった都知事選の投票率向上に一役買っている。票を投じた有権者に墨田区選管から交付される「投票済証」を共同で制作。墨田区出身の浮世絵師、葛飾北斎の代表作「富嶽(ふがく)三十六景」の図柄をイメージしたイラストが描かれており、本に挟むしおりとして活用できる。墨田区の担当者は「有権者が投票所に足を運ぶきっかけになれば」と話している。

 墨田区企画経営室によると、千葉大墨田サテライトキャンパス内にあるデザイン研究センター「デザイン・リサーチ・インスティテュート(dri)」の張益準准教授が投票済証のデザインを担当した。千葉大と墨田区は2017年3月に包括連携協定を締結し、21年4月に墨田キャンパスを開設した。連携協定に基づき、driがデザインを手がけることになった。

 北斎は墨田区生まれで、約90年の生涯のほとんどを現在の区域で過ごして、多くの名作を描いた。区内には「すみだ北斎美術館」もあり、地元出身の浮世絵師が残した富嶽三十六景の中から「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」を投票済証のデザインイメージに採用した。

 しおりとして利用できる投票済証は2種類あり、2枚を重ねて楽しむことができ「家族らと一緒に投票に行ってほしい」という願いが込められている。墨田区選管は約1万枚を用意し、投票した有権者が希望すれば交付する。21日から始まる期日前投票所でも受け取れ「投票率向上の一助になればいい」(墨田区選管)。

 墨田区は期日前投票で交付希望者が多ければ、投票済証を増刷する方針で、有権者の反応を見た上で来年以降の選挙でも交付を検討する。張准教授は「若者の政治離れが進んでいるので、家族や友人と投票に行って政治について話し合ってもらいたい」と話している。

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