宇都宮屋台横丁「火あぶり」閉店 “おばちゃん”が振り返る20年 若者中心に客層変化、リニューアルに向けエールも

営業最終日、常連客たちと談笑するちえさん

 街なかの人気スポットの宇都宮屋台横丁(二荒町)。2004年のオープン以来、初の大規模改修を全店休業で行っている。これに合わせて5店が入れ替わる。その一つが炉端焼き店の「火あぶり」。開設時から営業を続けてきた店が看板の明かりを落とした。横丁で唯一、その歴史の全てを知る店主の枝野(えだの)ちえさん(65)=西の宮2丁目=が20年間を振り返った。

 「一番変わったのは客層。以前は年齢が高めだったけど最近は若者中心になった」。夜の街なかの変化を語り「自分が年を取っただけかもしれないけどね」と笑った。

 20年前、飲食店を考えていたちえさんと夫の清(きよし)さん(68)は「面白そう」と出店を申し込んだ。それまで街なかになかった形態。「人があふれるほどの大盛況で始まった」と振り返る。

 オープン当初の横丁は、ちえさんらの同年代や年上の客が多かった。オリオン通りなどに若者向けの飲食店が増えてくると、横丁の客層も変化したという。

 「屋台の一番の良さは出会い」。客の世代が下がってもスタンスは変わらなかった。客同士の会話を盛り上げ、その日に会ったばかりの客たちが旧知の仲だったかのようにグラスを傾けた。元来の姉御肌。客の相談に乗り、時には苦言を呈すことも。「いい意味で『うるさいおばちゃん』」であり続けた。

 営業最終日の5月25日、その魅力にとりつかれた常連たちが夜遅くまで途切れず、中央には笑顔で語らうちえさんの姿があった。

 「あっという間だった。今は意外なほどさばさばしている」。やり切った証しの言葉だろう。最後に、リニューアルを迎える店主たちへエールを送った。「若いエネルギーで頑張って」

リニューアルのための休業前、大勢の客でにぎわう宇都宮屋台横丁

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