出場わずか3人も…斉藤立が異例の国際大会Vで五輪シード6位浮上へ「金メダルに近づく戦略」完遂 “けん制”リネールは欠場

 斉藤立

 「柔道・パンアメリカン・オープン」(22日、リマ)

 男子100キロ超級が行われ、パリ五輪代表の斉藤立(22)=JESグループ=が計3試合を一本勝ちして優勝した。格付けの低い大会のため、出場したのは世界ランク外のペルー選手2人を合わせて計3人。総当たり2試合の後、決勝も一本勝ちした。五輪1カ月前の異例の海外派遣となったが、これでパリ五輪のシードに関わるランキングで7位から6位に浮上する見通しとなり、目的を達成した。

 斉藤は5月のグランドスラム・カザフスタン大会で優勝し、五輪前最後の実戦をいったんは終えていた。ただ、最大のライバルである五輪2連覇王者テディ・リネール(フランス)が今月の欧州オープンで優勝を飾り、五輪ランクでわずかに斉藤を上回り、6位に浮上。斉藤としては、このまま開幕すれば23年世界王者のタソエフ(ロシア出身)と準々決勝で当たり、準決勝でリネールと連続で強敵に当たる過酷な組み合わせとなるため、日本代表陣営が今大会への出場を決断した。リネールも同大会にエントリーするなど“けん制”をかけてきたが、これ以上五輪ポイントを加算できないため直前にキャンセル。残り2人も欠場して大会が成立しなかった場合、ポイントを得られない事態も懸念されたが、無事に実施されて頂点に立った。

 斉藤は第6シードに上がったことで、準々決勝では過去全勝のラキモフ(アゼルバイジャン)と対戦し、準決勝はタソエフとリネールの勝者と当たる見通しとなった。日本男子の鈴木桂治監督は大会前の14日、今回の措置について「金メダルを少しでも近づけるための戦略。当たらなくていい選手には当たらなくていいのが五輪。(敗退する)リスクを排除するのが我々の仕事。選手に無駄な負担を掛けることはない。強い選手から逃げているわけではない」と狙いを説明していた。

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