東京電力・福島第一原発6号機トラブル 使用済み燃料プールの冷却が10時間停止も「結果的に問題なし」 原発担当記者が解説

2024年6月18日、東京電力・福島第一原子力発電所の6号機では、施設の一部で停電が発生し、使用済み燃料プールの冷却が10時間にわたり停止した。トラブルから一夜明け「問題はなかった」と繰り返し強調した東京電力の担当者。本当に問題なしと言えるのか?福島テレビの原発担当記者が解説する。

10時間 冷却機能が停止

安全性の確認を優先させたため、冷却が再開されたのは停止から約10時間が経った18日午後6時すぎ。使用済み燃料プールには1478体の燃料が保管されていて、冷却が止まっていた間に温度は22.0℃から1.5℃上昇した。

東京電力は会見で「プール温度は20日くらい冷却が止まっても、60℃程度までの上昇ということ。10時間ということであれば、特に対応としては問題がなかったと考えています」と説明した。ケーブルの損傷が停電につながった可能性もあるとみて、原因を調べている。

結果的に問題はなかった

福島テレビで原発取材を担当する石山美奈子記者は、今回のトラブル対応について「結果的に問題はなかったという結論になる」という。
そもそも使用済み燃料は、熱を放出し続けるため燃料プールに保管されポンプを使い水で冷却されている。

今回、10時間の冷却停止によって使用済み燃料プールの温度は22℃から23.5℃に上昇した。
東京電力・福島第一原発6号機の場合、20日間冷却が停止すると60℃くらいまで上昇するとしている。そして、法律に基づく「実施計画」の違反となるのが65℃で、これは「燃料プールの周りのコンクリートの健全性に問題が生じる可能性」があるためだ。

しかし、実際には40℃でも湯気で湿度が上昇し周りの機器に障害が出る可能性がある。
石山記者は「大前提として、東京電力にはトラブルなくきちんと冷却し続けることが求められている」と指摘する。

急がれる原因究明

冷却停止の引き金となった停電について石山記者は「仮に原因がケーブルや設備の劣化だったしたら、福島第一原発の中にある大量の電源設備を総点検ということにもなりかねない。今回は使用済み燃料プールだったが、原子炉そのものの冷却や温度・水位の監視などにも電源は使われている。廃炉作業の安全のためにも原因究明を急いでもらいたい」と話した。

そして、6号機をめぐっては6月18日にタービン建屋の地下1階で火災警報器が作動し煙が確認されるトラブルも起きている。19日には東京電力が、消防から「火災」と判断されたと公表した。

停電とほぼ同じタイミングで発生していて、電気を流すための設備の一部が焦げて溶けていた。電気がショートし燃えた可能性があり、東京電力は停電の原因とみて詳しい状況を引き続き調べている。

(福島テレビ)

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