「このラップでの17位にはガッカリ」 角田裕毅、スペインGP予選はペース不足で5戦ぶりQ1敗退…専門メディアは「今週末の入賞は難しい」

F1第10戦のスペイン・グランプリは6月22日に予選が行なわれ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は17番手に終わり、5戦ぶりのQ1敗退を喫している。

本格的な欧州ラウンドのスタートで、3連戦の初戦となる今週末は、大幅なアップデートを施したこともあり、ここまで好調なRBがさらに速さを増すかどうかという興味を惹いていたが、期待に反して初日は角田もダニエル・リカルドも下位に沈んだことで、ここからいかに改善するかが課題となっていた。

しかし、フリー走行3回目(FP3)でも角田は22周回でベストタイムは全体18番手となる1分14秒420に止まり、迎えた予選、Q1では15番手ノジョウ・グァンユ(ザウバー)から0.105秒遅れでノックアウト。リカルド(18番手)には0.048秒上回ったものの、カタロニア・サーキットでの2日目も厳しいものに終わっている。
予選後、角田はチームの公式サイト等を通して、「今週末はペース不足に苦労しており、改善を試みるために様々なことを試してきました。予選では、フリー走行よりも良く感じました。少なくとも、自分のラップには満足しており、現時点での車の性能を最大限に引き出せたと感じています」と、悪い状況の中でも最善を尽くしたことを強調し、以下のように続けた。

「最近のレースは順調に進んでいたので、このような状況は残念ですが、苦しい時期をチーム全体で乗り越えることは重要だと思います。これは、苦境から学び、チームとして成長する良い機会です。最も重要なことは前向きな姿勢を保つことであり、我々は間違いなくそれを実践しています」

また、メディアのインタビューでは、「アップデートは期待通りに機能しているようです。パッケージには特に異常なことは起こっていませんが、それでも今週はこういうことが起こっています。もちろん、色々なことを試しましたが、状況を改善することはできませんでした」と語っている。 予選結果については、「少なくとも16番手には入りたいと思っていました。17番手という結果は、僕が望んでいたものではなく、このラップで期待していたものからはかなりかけ離れたものでした。少なくとも今後、まだ何かを引き出せる感じはありますが、それでもこのラップで17番手だったということには、かなりガッカリしています」と、正直な気持ちを明かした。

初日を終えた際には、「アップデートは機能しているのに、いつもよりペースが著しく欠けているのは、何か大きなことを見逃しているということだと思います」と指摘していた彼は、「(この不調は)コース特有の問題であることを願っています。今週、もっと準備できたはずであることも、現状を改善するために何が欠けているのかも理解しています。でも、それができなかったため、良い結果を出せませんでした」との見解を示している。

リカルドは「ユウキとはまだ話していないが、彼も車のハンドリングに不満を抱いていることはないと思う。スピードが十分でないだけだ」とVCARB01の問題を挙げているが、この厳しい予選を終えた後、RBのテクニカルディレクター、ジョディ・エッギントンは「アップデートが期待通りだったことが示されているにもかかわらず、バルセロナでは十分な成果を引き出せないでいる。車のバランスには若干の改善が見られたが、それだけでは十分でない」とのコメントを残した。
各国専門メディアの評価を見ると、ブラジルのF1専門サイト『F1MANIA』は「RBのスペインGP予選は酷いものとなり、期待を大きく下回るペースに終わった」とこのイタリア籍チームを酷評し、フランスのモータースポーツ専門サイト『NEXTGEN-AUTO』は、「RBの表情は渋いものとなっている。大幅なアップデートを施したチームはQ1で敗退。両車とも3セットのソフトタイヤを使用するも、成功しなかった。角田はFP3後のセッティング変更も奏功せず、バルセロナでは快適さを感じられずにいる」と綴っている。

そして英国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は、「スペインGP予選の勝者と敗者」という記事で、RBを後者として選定し、「チームのアップデートにもかかわらず、今週末のパフォーマンスはまだ不十分。興味深いことに、角田は予選のラップにかなり満足しており、脱落を知った時には驚いた様子だった。彼とリカルドがレースで巻き返すのは大きな課題であり、金曜日のペースを考えると、今週末のポイント獲得は難しいだろう」と、厳しい展望を示した。

構成●THE DIGEST編集部

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