アストンマーティン育成クロフォードが今季初優勝。宮田莉朋は入賞ならず/FIA F2第6戦レース2

 6月23日、2024年FIA F2第6戦バルセロナのフィーチャーレース(決勝レース2)が行われ、ジャック・クロフォード(ダムス・ルーカスオイル/アストンマーティン育成)が今季初優勝を飾った。宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は13位となった。

 フィーチャーレースのグリッドは22日に行われた公式予選で決定され、ドライバーズランキング首位につけるポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)が初ポールポジションを獲得。

 フロントロウ2番手にクロフォード、2列目3番手にフランコ・コラピント(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)、4番手にガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)が続いた。

 3列目5番グリッドにはF1昇格が噂されるアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)、そして6番グリッドに宮田が続いた。

 今大会のタイヤコンパウンドはプライムタイヤがハード(ホワイト)、オプションタイヤがソフト(レッド)となるなか、上位勢はソフトタイヤをスタートタイヤに選択している。

 そんななか、フォーメーションラップ開始時に5番グリッドのアントネッリ、21番グリッドのロマン・スタネ(トライデント)がスタートできず、2台はピットレーンからのスタートへと変わった。

2024 FIA F2第6戦バルセロナ フィーチャーレースのスタート

 タイヤ交換義務を有する周回数37周で争われるフィーチャーレースは、快晴のもと、気温20度、路面温度30度というコンディションでスタートを迎えた。アーロンがターン1のホールショットを守り、クロフォード、コラピント、ボルトレートとトップ4はグリッド順のまま続く。

 アントネッリがピットスタートとなったことで事実上5番手スタートとなった宮田はスタートで出遅れ、11番グリッドから驚異の蹴り出しを見せたアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)、そしてハードタイヤを履くジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)に続く7番手に後退する。

 その直後、ターン2で前日のスプリントレースの勝者ビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)とデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)が接触し2台はグラベルの餌食に。これでオープニングラップからセーフティカー(SC)導入となった。

2024 FIA F2第6戦バルセロナ ビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)とデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)のアクシデント
2024 FIA F2第6戦バルセロナ ビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)

 
 レースは4周目にリスタート。勢いに乗るハジャルはリスタート早々から4番手ボルトレートに仕掛ける。ただ、タイヤのデグラデーション(性能劣化)が激しいバルセロナだけに、ハジャルも5周目以降はペースコントロールに入った。

 首位のアーロンはポイントリーダーながらFIA F2では未勝利。初優勝に向けた最大のチャンスとなるなか、序盤から2番手クロフォードとのギャップを毎周0.5秒近く引き離しにかかる。周回数が7周を迎えるとハードタイヤ勢のペースがソフトタイヤ勢を上回り、8周目にはデュルクセンがハジャルを攻略し5番手に浮上する。

 それを見てか、9周目には2番手クロフォード、7番手宮田、8番手オサリバンがハードタイヤに交換。しかし、宮田はピットでオサリバンに先行される。さらに宮田は翌周ピットを終えたゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)にも先行される。

 11周目にはボルトレート、12周目にアーロン、コラピント、ハジャルらがピットイン。クロフォードはピットアウト直後のアーロンをコース上でかわし、クロフォードがピット消化組のトップに浮上する。

 ハジャルは宮田の眼前でコース復帰。すでにタイヤの温まった宮田は早めにオーバーテイクしたい場面だったが、宮田はハジャルをかわすことができない。そんななか13周目にテイラー・バーナード(AIXレーシング)がピットレーン入り口でマシンを止め、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入される。

 14周目にVSC解除となるとターン1でエンツォ・フィッティパルディ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)が宮田をオーバーテイク。宮田はこれでピット組の9番手に後退する。

2024 FIA F2第6戦バルセロナ 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)

 16周目、事実上の2番手を走行していたアーロンが最終コーナーでバランスを崩しコースオフ。これでピット組2番手にボルトレート、ピット組3番手にコラピント、ピット組4番手にオサリバンが浮上するかたちに。

 さらに波乱は続いた。17周目、ハードタイヤスタートからステイ組のトップを走行していたデュルクセンがスローダウン。その後コースサイドにマシンを止め、18周目には2度目のVSC導入となる。デュルクセンのリタイアにより、ステイ組トップはファン・マヌエル・コレア(ダムス・ルーカスオイル)に変わった。

 なお、17周目にはオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)が宮田を攻略。先日のスプリントレースでは好走を見せた宮田だが、フィーチャーレースではペース不足に悩まされる。

 VSCが20周目に解除されると、アーロンがオサリバンを攻略しピット組3番手に浮上する。そんななか、ボルトレートとコラピントによるピット組2番手の争いが白熱。2台のバトルは複数周回にわたり続き、24周目にコラピントがピット組2番手に浮上。しかし、このバトルの影響でピット組首位のクロフォードは後続を4秒引き離す展開に。

2024 FIA F2第6戦バルセロナ ガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)

 28周目、ステイ組トップのコレア、ステイ組2番手のクッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)がピットイン。その直後にはアーロンがボルトレートをパスし、事実上の3番手に浮上する。

 全車がピット義務を消化した30周目、トップはクロフォード、2番手コラピント、3番手アーロン、4番手ボルトレート、5番手ハジャル、6番手コレアというオーダーとなると、ソフトタイヤに履き替えたコレアが、上位勢とのギャップを毎周1秒以上縮める。

 コレアは31周目にハジャルとボルトレートを、そして33周目のターン1でアーロンをパスし3番手に浮上。昨日ペナルティで失った表彰台圏内に浮上する。一方、9番手走行中のフィッティパルディにはトラックリミット違反で5秒のタイムペナルティが下されることに。

 また、ファイナルラップにはインビクタ勢2台のチームメイトバトルが白熱。サイド・バイ・サイドの末、2台はターン1でわずかに接触するが、大事には至らず。しかし、このチームメイト同士の接触の原因となったとして、ボルトレートに対し5秒のタイムペナルティが下ることに。

2024 FIA F2第6戦バルセロナ ジャック・クロフォード(ダムス・ルーカスオイル/アストンマーティン育成)

 37周目を終えて、クロフォードが今季初、FIA F2キャリア2勝目を飾った。2位にコラピント、3位にコレアが続き、ダムス・ルーカスオイルは2名が揃って表彰台に登壇した。

 4位アーロン、5位ハジャル、6位マイニ、7位マローニ、8位アムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト)、9位ジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)、10位ボルトレートまでがポイント獲得。

 ボルトレートは7位チェッカーから5秒ペナルティを受けるも10位で1ポイントを獲得。なお、ファステストラップはアントネッリが記録しているが12位で未入賞となったため、ファステストラップポイントはマルティが獲得している。

 フィッティパルディは5秒加算で11位に後退し、ポイント獲得には届かなかった。6番グリッドスタートの宮田は、終盤36周目にベアマンを攻略するも13位となり、入賞には届かなかった。

 2024年FIA F2、次戦となる第7戦シュピールベルクは次週6月28〜30日にオーストリアのレッドブルリンクで開催される。

2024 FIA F2第6戦バルセロナ フィーチャーレース表彰式

■2024年FIA F2第6戦バルセロナ フィーチャーレース正式結果

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 7 J.クロフォード ダムス・ルーカスオイル 59’46.800

2 12 F.コラピント MPモータースポーツ 1.400

3 8 J.コレア ダムス・ルーカスオイル 5.820

4 17 P.アーロン ハイテック・パルスエイト 11.486

5 20 I.ハジャル カンポス・レーシング 14.720

6 9 K.マイニ インビクタ・レーシング 19.333

7 5 Z.マローニ ロダン・モータースポーツ 22.692

8 16 A.コルデール ハイテック・パルスエイト 24.442

9 21 J.マルティ カンポス・レーシング 24.919

10 10 G.ボルトレート インビクタ・レーシング 25.400

11 14 E.フィッティパルディ ファン・アメルスフォールト・レーシング 29.155

12 4 A.アントネッリ プレマ・レーシング 35.513

13 6 宮田莉朋 ロダン・モータースポーツ 35.955

14 3 O.ベアマン プレマ・レーシング 37.470

15 2 Z.オサリバン ARTグランプリ 45.073

16 15 R.ヴィラゴメス ファン・アメルスフォールト・レーシング 47.273

17 23 R.スタネ トライデント 63.092

18 22 R.フェルシュフォー トライデント DNF

– 24 J.デュルクセン AIXレーシング DNF

– 25 T.バーナード AIXレーシング DNF

– 1 V.マルタンス ARTグランプリ DNF

– 11 D.ハウガー MPモータースポーツ DNF

・ファステストラップ(全体)
アンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成):1分27秒918(31/37)

・ファステストラップ(得点対象)
ジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成):1分28秒706(30/37)

・ペナルティ:
#2 ザク・オサリバン:5秒タイムペナルティ/トラックリミット4回超過
#14 エンツォ・フィッティパルディ:5秒タイムペナルティ/トラックリミット4回超過
#2 ザク・オサリバン:5秒タイムペナルティ/トラックリミット5回超過
#10 ガブリエル・ボルトレート:5秒タイムペナルティ/接触要因

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