「大きな壁でした」福岡工大城東が東九州龍谷に競り勝ち、初の「九州女王」 就任17年目、監督声を震わせ【全九州高校バレー】

バレーボールの全九州高校大会の女子を制した福岡工大城東の選手たち。決勝ではこれまで大きな壁だった東九州龍谷に競り勝ち、念願の「九州女王」の栄冠を手にした

バレーボールの全九州高校大会が22、23日の両日、佐賀県内であり、SAGAプラザ(佐賀市)で行われた女子は福岡工大城東が初優勝した。今夏の全国高校総体(インターハイ)の予選を勝ち上がった各県の上位校が出場。東九州龍谷(大分)とともにシードされた福岡工大城東は23日の決勝トーナメントから登場し、準々決勝で聖和女子学院(長崎)、準決勝で都城商(宮崎)をフルセットの末に破ると、東九州龍谷との決勝もセットカウント2―1(21―25、25―20、28―26)で競り勝った。なお、吉野ケ里町文化体育館などで行われた男子は東福岡が川内商工(鹿児島)との決勝を同2―0で制し、優勝した。

ジュースにもつれ込んだ熱戦に終止符が打たれると、福岡工大城東の選手たちは抱き合って喜んだ。総立ちとなった観客席では、保護者の一人がつぶやいた。「女子日本代表がネーションズリーグでブラジルを倒して感動を味わったばかりなのに、もう…それ以上の大感激です!」。無理もない。同校にとって悲願ともいえる「九州女王」のタイトルだったからだ。今年2月の全九州選抜と5月の全九州総合選手権は準優勝。いずれも東九州龍谷にストレート負けを喫していた。まさに三度目の正直でつかみ取った栄冠だった。

「苦しい場面でも絶対に下を向かない」

「東龍さん(東九州龍谷の愛称)は大きな壁でした。私は今年で就任17年目ですが、九州の三大大会で勝つのが一つの目標でしたので」。葛西廣紀監督(44)も声を震わせた。全九州選抜では第1セットの開始早々から7連続得点で主導権を握りながらの逆転負け。この日も第1セットを先取され、1―1で迎えた最終第3セットは先にマッチポイントを握られた。

「苦しい場面でも絶対に下を向かない。ミスが出ても、攻める気持ちを忘れずに、次のプレーに集中しようと…練習からずっと言ってきたことを実践できました」。リベロの柚木菜摘主将(3年)が胸を張った。多彩でスピード豊かな東九州龍谷のオフェンスに対して、ブロックとレシーブの好連係で対抗した。身長150センチの体を投げ出しながら懸命にボールを拾い上げる柚木に勇気づけられるように、スパイカー陣も奮起。敵将の相原昇監督(55)も「パワフルでポテンシャルが高い」と警戒していた両レフトの和田実久(3年)と井上咲希(2年)がサイドから次々と打ち込んだ。攻めの姿勢は随所に表れた。後がない第2セットは19―20から追いつくと、リリーフサーバーでコートに立った金澤妃愛(3年)が強烈なジャンプサーブで相手守備を崩し、連続得点に導いた。

ライバル福岡女学院倒し総体切符

全国総体の出場切符は県内のライバルでもある福岡女学院を倒して、手にした。その全国総体でのチームの過去最高成績は8強だ。「もう一度一丸となって、4強以上を狙います!」。柚木主将は部員24人の決意を代弁。小さなキャプテンの、大きくてたくましい声が歓喜のコートに響き渡った。
(西口憲一)

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