【南井克巳元調教師 剛腕の視点】馬場と京都コースが大いに味方したブローザホーン よく踏ん張った3着ベラジオオペラ

 大外から豪快に差し切るブローザホーン(右から2頭目)=撮影・石湯恒介

 「宝塚記念・G1」(23日、京都)

 18年ぶりに淀を舞台に行われた上半期を締めくくるドリームレースを制したのは、ファン投票24位ながら3番人気に推されたブローザホーン。荒れた馬場を味方に、2度目のG1挑戦でビッグタイトルを奪取した。鞍上の菅原明良騎手(23)=美浦・高木、管理する吉岡辰弥調教師(48)=栗東=ともにG1初勝利。エピファネイア産駒は今年のJRA・G1でトップの4勝となった。2着に7番人気のソールオリエンス、3着に5番人気のベラジオオペラが入り、1番人気のドウデュースは6着に敗れた。

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 前半1000メートルが61秒0。そんなに速くなかったと思うけど、3角過ぎから一斉に仕掛けていったのが肝だったかな。先に動いた馬が苦しくなって、結果的に馬場の外めから追い込んだ1、2着馬に展開が向いたね。

 勝ったブローザホーンは馬場、そして今年の京都コースが大いに味方した。小さい馬だけど、素軽いフットワークで道悪を気にしないし、京都の外回りで結果も出しているからね。スタートして無理せず、直線はジョッキーが計ったように馬場のいい外に持ち出した。好騎乗も光ったし、当然馬自身の力があってこそだとは思う。

 ソールオリエンスにも驚いたよ。皐月賞を勝ったときから僕も注目していたけど、菊花賞3着後はさっぱりだった。今回は折り合いもついていたし、皐月賞と同じように馬場も悪かったね。何よりも自分のリズムで走れたのが大きいのかな。

 評価したいのは3着のベラジオオペラだね。好位で運んで早めに外から来られたけど、よく踏ん張ったよ。最後も差し返すようなところも見せて、自分の競馬ができた。馬場が良ければ結果も違ったはず。もともと(調教師の)上村君も先々の馬と話していたし、これからも楽しみだ。豊君のドウデュースは具合も良さそうだったけど、直線で内に入ったのがこたえのか。正直言って理由が分からないね。とにかく今回は難しいレースだったと思う。(元JRA調教師)

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