広島・堂林 今季初5番に応えた復調3安打 両親見守る中、地元・愛知で躍動「当たり前のことを当たり前にできてから」

 6回、堂林は右前打を放つ(撮影・市尻達拡)

 「中日2-1広島」(23日、バンテリンドーム)

 復調への手応えを深めた。広島の堂林翔太内野手(32)が今季初の5番起用に応える同2度目の猛打賞をマークした。チームは1点止まりで5カードぶりの負け越し。2位・阪神とは2ゲーム差に縮まったものの、逆襲を狙う選手会長の上昇気配は敗戦のショックを和らげた。

 泥くさく、しぶとさのある堂林が戻ってきた。外角の球に食らいついた安打を序盤で生み出すと、終盤には捉えた一打も披露した。4月10日・阪神戦(甲子園)以来の猛打賞。「結果は後からついてくるもの」と冷静に受け止めながらも、「今日はしっかり自分のスイングをしようとやった結果の3安打。いいきっかけにしていきたいと思う」と前を向いた。

 今季初の5番起用。久々のクリーンアップでの起用にも「打順は別に関係ない」と平常心を貫いた。二回先頭で迎えた1打席目は左腕・松葉の外角へ沈むチェンジアップをバットの先で拾ってポトリと落ちる中前打。六回も低めのツーシームをしぶとく右前に運んで次打者・石原の一時同点となる中犠飛を演出し、「その後に点もとってくれたので、良いヒットがでてくれたと思う」とうなずいた。

 八回は二塁手がダイビングキャッチで止めることが精いっぱいという痛烈なゴロでの内野安打もマーク。四回には四球も選んでおり、全4打席で出塁した。地元・愛知で見いだした浮上への足がかり。「昨日、今日と両親も見に来ていた。良いところを見せられたので良かった」と親孝行を果たす活躍にもなった。

 今季は開幕を4番として迎えながらも打撃不振で5月12日に出場選手登録抹消。約1カ月間、2軍で汗を流した。「結果をもちろん出したい。だけどまず当たり前のことを当たり前にやることができてからの次だと思う。そこはファームでもずっとやっていた」。焦る気持ちを抑えて走り込み、振り込みに徹して体のキレを取り戻した。1軍再昇格後は試合前練習でのノックでもボールを呼ぶ際に声を張り上げる。「初心に戻って」という思いは、何げないところにも表れていた。

 今季は選手会長としてもグラウンドに立っている。個人だけでなく、チーム全体も俯瞰(ふかん)して見る必要のある背番号7は「ピッチャーには申し訳ないけど、ここは特に長打の出にくい球場。つないでなんとか1点でも多くと思っていたけど、勝ちきれなかったことは悔しい」と責任を背負った。次は勝利に導く一打を-。きっかけを手放すことなく、完全復調への道を突き進む。

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