不登校対策に!GIGA端末で動く「レノボ・メタバース・スクール」 オンライン支援員も常駐

by 本多 恵

レノボ・メタバース・スクール

NEXT GIGAに向けたICT環境整備は、端末更新に関心が寄せられているが、約29万の児童生徒がいる不登校対策も大きな課題であり、支援が求められている。

その手段のひとつとして取り上げたいのが、メタバースを活用した「レノボ・メタバース・スクール」だ。5月8日から開催された「第15回EDIX(教育総合展)東京」の同社ブースにも展示されており、その中身をお届けする。

第15回 EDIX(教育 総合展)東京レポート 目次

GIGA端末でサクサク動く3Dメタバース空間

レノボ・メタバース・スクールは、不登校や日本語指導が必要な児童生徒に、インターネット上の仮想空間を活用して居場所や学びの場を提供するプラットフォーム。東京都の「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム(VLP)」にも採択されている。

同サービスの特長は、GIGA端末でもWebブラウザで快適に動くこと。アバターやアイテムをリアルに近い感覚で体験できる3Dメタバース空間で、臨場感のあるコミュニケーションを実現できる。

チャットや音声のほか、「大喜び」や「ガッツポーズ」といったアクションを使ってコミュニケーションできる

「学習スペース」にある教材をタップすると、自学自習用教材の「デキタス」「すらら」「すらら日本語」、プログラミング教材「みんなでプログラミング」に外部遷移し、オンライン学習に取り組める。

机に並んだ教材から、「デキタス」を選び、オンライン学習を開始。在宅でも、アバター越しに複数人で学習しているような気分を味わえる

メタバース空間内には特別な研修を受けたオンライン支援員が常駐しており、カウンセリングや自立のサポートを行うほか、児童生徒同士のコミュニケーションをサポートする。例えば自学自習に取り組む際、一人ではモチベーションの維持もむずかしいが、オンライン支援員が話しかけたり、相談にのったりすることで児童生徒の頑張りを後押しする。

水色で囲まれたテントやソファは、プライベートスペース。エリア外にいる人には音声が聞こえないように設計されている。

児童生徒の“分身”となるアバターは、導入時にさまざまな種類から選択できる。肌や髪形、瞳の色は、多様なバックグラウンドに対応したデザインが用意されている。男女の性別では限定できないジェンダーの多様性に配慮し、動物のキャラクターもバラエティ豊か。児童生徒に人気だという。

独自の遊びを企画、自己肯定感を高める交流の場

レノボ・メタバース・スクールには、学習や相談以外にも児童生徒の活動が広がる機能が用意されている。その中の1つがアスレチック。壁のスイッチをオンにすると、空間内に階段や障害物が表示され、遊ぶことができる。

緑色の表示された階段や障害物に登ってジャンプ!

ほかにも空間にあるアイテムを使って、「イス取り」や「旗取り」などさまざまなゲームを模して楽しむことも可能だ。実際にイスを減らすことはできないが、こうした遊びのアイデアを児童生徒から募り、交流を深めている活用例もある。

椅子取りゲームや旗取りを児童生徒が企画して、交流を深める

また、空間内には至るところにホワイトボードが用意されていて、管理者の設定によって児童生徒が自由に書き込んだり、付箋を貼ったりできる。使い方としては、イラストや作品を展示するポスターセッションや、好きなことを発表する「自己紹介コーナー」など、自分を表現して互いの理解を深めるきっかけ作りにも使える。

管理者の設定で、児童生徒も自由にホワイトボードに書き込める。ポスターセッションや季節の展示など、使い道はさまざま

教室スペースの黒板には画面共有機能があり、オンライン授業やスピーカーを招いた講演を行うことができる。レノボ・メタバース・スクールでは不登校支援に限らず、日本語を母国語としない児童生徒の支援として、株式会社ECCによる日本語指導の特別講座を開催している。

黒板をクリックすると、ライブカメラが起動。オンライン授業やビデオ会議を使った講演が可能

レノボ・ジャパンでは今後、全国の教育委員会を対象にレノボ・メタバース・スクールの無償提供を予定している。利用期間は最大2カ月、アカウント数は50までの予定で、開始時期は未定となっている。

不登校の児童生徒にとって、家族以外とコミュニケーションする居場所は重要だが、その接点を作るのは難しい。その点、特定の場所に足を運ぶことなく会話し、交流できるレノボ・メタバース・スクールのような居場所は、児童生徒の自己肯定感を高め、次のステップへと踏み出す足がかりにつなげられる。GIGA端末で利用できるのもメリットであり、学びの選択肢としてより多くの児童生徒に広がってほしい。

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