『古畑任三郎』大物議の「黒塗りSMAP」の闇 複雑な権利関係と高額使用料話を追った 旧ジャニ&フジからの回答

SMAP(C)ピンズバNEWS

6月18日、フジテレビであった“不可解放送”。それに対する“なぜ”の声はいまだ続いている――。

5月24日から、フジテレビでは放送30周年を記念して田村正和さん(享年77)主演の刑事ドラマ『古畑任三郎』シリーズ(1994年~)が再放送され、人気を博している。しかし、6月18日に放送された第3シーズンの第11話『最後の事件・後編』にて、SMAPに対してあまりにも不自然な“黒塗り”編集が行なわれていたことが物議を醸したのだ。

「今回は再放送されませんでしたが、『古畑任三郎』にはSMAPのメンバー全員が本人役で、しかも殺人を犯す『古畑任三郎 VS SMAP』(1999年)という伝説の回があります。

そして、6月18日放送の『最後の事件・後編』の冒頭では、歴代の犯人の写真がタイル状に並べられる演出があったのですが、右上の一列に並んだ5枚のパネルーーSMAP5人の写真が黒塗りで隠されてしまっていたんですよね」(女性誌ライター)

このあまりにも不自然な演出は《黒塗りSMAP》としてX(旧ツイッター)のトレンド入り。

《事務所の問題とか権利とか、事務所と局間でのやりとりや決め事とかは、視聴者にはどうだっていいんだよ。黒塗りSMAPなんて言葉まで生まれるような、ファンや視聴者を不愉快にさせる姿勢に問題があるんだよ。イメージ回復につながる絶好の機会だったのに、わざわざ悪化させてどうするんだ》
《この辺りは権利関係とかも複雑に絡むから忖度とか圧力とか簡単には言えないけど、純粋にあれほど秀逸な作品が葬られてしまうのは本当に勿体ない》

など、憤りの声を中心にさまざまな意見が寄せられている。

なお、元SMAPの木村拓哉(51)は『VS SMAP』とは別の回『赤か、青か』(96年6月/当時23歳)に殺人犯・林功夫役で出演していたが、歴代犯人のパネルでは“SMAPの木村”とは別枠で配置されており、そちらは黒塗り処理などされていなかった。『赤か、青か』は『VS SMAP』同様に再放送が難しいのではと言われていたが、6月6日に再放送されている。

■SMAPの映像を管理していたのは――

芸能プロ関係者は話す。

「『古畑任三郎』の再放送で、SMAPの写真が映るわずかな場面ですら不自然すぎる黒塗り処理をせざるを得なかった――その理由は、まずは権利問題。そして、映像の使用料の問題もあるのでは、とささやかれています。

『古畑任三郎』に限らず、現在、テレビ局がSMAPの過去映像を使用する際には、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)サイドから高額な使用料請求がある――そうした話が聞こえてきていますね」

まず、2016年末をもって解散したSMAPの映像作品の権利は、2005年6月に設立された旧ジャニーズの関連会社『株式会社ジェイ・ドリーム』が管理していたとされる。『ジェイ・ドリーム』はジャニー喜多川氏(享年87)が代表取締役社長、元SMAPチーフマネジャーのI氏が取締役を務めていた会社で、16年末のSMAPの解散後も“幽霊会社”として放置状態。

同社は今年4月にSMILEーUP.のマネジメント部門が新会社のSTARTO ENTERTAINMENTの新体制に移行してからも形だけ残っており、代表取締役も旧ジャニーズに長年勤めた名物広報マンの元副社長・S氏が19年9月に就任してから、彼が旧ジャニーズを離れた後もそのままの状態になっているという。そして、元チーフマネージャーのI氏や元SMAPのメンバーが、同社の株式をかなり保有しているとも言われている。

前出の芸能プロ関係者が続ける。

「『ジェイ・ドリーム』はSMAPのための会社だったのにSMAPは解散し、I氏が退所。さらにジャニー喜多川氏の加害が世界的な問題となったことでI氏や元メンバーは今まで以上に旧ジャニーズと距離を取るようになった。そのことで会社を清算することも難しく、『ジェイ・ドリーム』はアンタッチャブルな会社になってしまっているといいます。これがSMAPの権利関係の難しさに拍車をかけていると言えそうです」

SMAPの過去映像の許可を取るには、木村が契約しているとされるSTARTO社に加え、I氏が草なぎ剛(49)、稲垣吾郎(50)、香取慎吾(47)の新しい地図と独立して立ち上げた『CULEN』、そして独立した中居正広(51)の事務所『のんびりなかい』へ確認が必要になってくるわけだが、

「SMAP全体の映像の権利は『ジェイ・ドリーム』が扱っていたわけで、やはりそこにも関わってくる話かと。そうなるとそこの窓口はタレントのマネジメントを担当するようになった新会社のSTARTO社ではなく、かつてを知る旧ジャニーズ、つまりSMILEーUP.になってくると考えられます。

しかし、SMILEーUP.はジャニー氏の被害者への補償対応やSTARTO社への各分野の引継ぎ業務に追われています。そんななかで、創業家と揉めて退所した元チーフマネージャーI氏や元メンバーも絡むSMAPの映像関係のことには触れたくない、触れる余裕はない、と見られています。

そうしたなかで聞こえてくる過去のSMAP映像使用の高額使用料の話――それは通常の数倍程度の額ではないと言われ、そこには、テレビ局サイドが使用を諦めることに期待しているところもあるのでは、と言われているんですよね……」(前同)

ただでさえテレビ不況の時代。『古畑任三郎』はレジェンド作品とはいえ、再放送のためだけに高額な予算は用意できないだろう。そのため、フジテレビは苦肉の策でSMAPの写真を黒塗り処理せざるを得なかった、ということなのか。

■SMILE-UP.に聞くとSTARTO社に……

SMILEーUP.がSMAPの過去の映像を使いたいテレビ局に対して、高額な使用料を請求するというのは事実なのか。弊サイトはまずSMILEーUP.に問い合わせたところ、

「SMILEーUP.は補償業務の会社です。タレント関係のことはSTARTO社にお問い合わせください」

という回答だった。

そこで続けて、“タレント関係”の業務を行なっているSTARTO社に問い合わせを行なったところ、

「本件に関しましては、フジテレビ様にお問合せをお願いいたします」

と、回答された。

そこで、フジテレビに問い合わせを行なったところ、以下の回答があった。

「制作の詳細についてはお答えしておりませんが、今回の『古畑任三郎』に関しては、ご質問のような理由(※高額な映像使用料)ではございません。

なお、個別の映像使用料については、お答えする立場にございません」

映像使用料が今回の『古畑任三郎』の「黒塗りSMAP」の原因ではない、という明確な回答はあったのだが、前出の芸能プロ関係者は言う。

「使用料が理由ではないとしても、『古畑任三郎』30周年記念の再放送で、SMAPの写真を黒塗り処理するというのはあまりにも不自然で、視聴者が荒れるのも目に見えている。映像を黒塗り修正するなんて、主演の田村さんの名誉にも関わる話でしょう。フジテレビとしても当然、そのまま放送したかったはず。

それでも、SMAP全員の過去回の放送だけでなく、写真が映る場面すら放送できなかった――やはり、SMAPの権利問題は、あまりにもややこしい、複雑なことであるのは間違いないでしょうね」

今後は、『古畑任三郎』だけでなく、過去の歌番組などでのSMAPの姿も見られなくなっていくのかもしれない……。

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