お取り寄せだけで2000種類以上も 多様化する餃子の注目トレンドを専門家に聞いた

ごはんにもお酒にも合う焼き餃子【写真:Hint-Pot編集部】

ごはんのおかずだけでなく、お酒にも合う焼き餃子。地域や店、各家庭でもこだわりがあるほか、市販のチルド・冷凍餃子に加え、お取り寄せ餃子も人気です。さまざまな餃子があるなか、今、注目を集めているのは、どんな餃子なのでしょうか。餃子のスペシャリストである、一般社団法人焼き餃子協会 代表理事 小野寺力さんに、トレンドの餃子と自宅でおいしく餃子を焼くコツをお聞きしました。

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「餃子の好みは多様化の兆し」

――焼き餃子の一番の魅力は、どんなところでしょうか?

「餃子という料理自体が、栄養素がバランス良く入ったものであり、さまざまな食材を包むことができる柔軟性があります。これをゆで・蒸しではなく、焼くことで、もちもちジューシーな食感に、パリパリという食感が加えられる。また、メイラード反応の香りや味も加わって、ただの水餃子よりも食欲をそそる風味や食感になっています」

――お取り寄せできる餃子は現在、何種類くらいあり、今、どういったタイプが人気なのでしょうか? また、これから注目なのは、どういった餃子ですか?

「お取り寄せできる餃子は、およそ2000種類以上あると考えられます。皮の厚いものや薄いもの、大粒なものや小粒なもの、野菜が多いものや肉の多いものなど、いろいろな種類の餃子があります。東日本が皮厚めで大きめ、西日本は皮薄めで小さめな餃子が好まれる傾向です。

最近は餃子に関してもグルメな方が増えてきて、『ちょっと高くても手打ちの皮の餃子がおいしい』『肉は粗切りがいい』など、餃子の好みは多様化の兆しがあります。

話題になりそうなものとしては、地方の一都市でソウルフードと呼ばれる人気がありながら全国区になっていない餃子が、改装して冷凍コーナーを拡充した大手スーパーマーケットで人気になっていくと見ています。また『肉汁餃子のダンダダン』さんのように、餃子定食を有名シェフが監修するという傾向も増えていくと思います」

家庭でもおいしく 「餃子職人がよく使うもの」とは

――「肉たっぷりがいい」「野菜多めが好き」「せっかくなら変わったものを」など、いろいろな好みがあると思います。それぞれに、おすすめのお取り寄せ餃子を教えてください。

「肉たっぷりがいいなら、『青島食肉食鳥 金豚餃子』。畜産県としても餃子の街としても名高い、宮崎県宮崎市で作られている餃子になります。広東料理の元オーナー頼氏のレシピと老舗食肉事業者のコンビで生み出される餃子は、肉のいい食感と、噛めば噛むほど旨味が溢れる絶品です。

野菜多めが好きなら、『うらわ餃子』。地元のお母さんたちが集まって、子どもにたくさんの野菜を食べてほしいと願って作られた餃子です。手包みでたっぷりのあんを包んで、ちょっと大きめな餃子となっています。

変わったものを食べてみたいなら、『餃子製作所土竜 しそたく餃子』。たっぷりのあんに、さまざまな食材を包んだ餃子を作るお店ですが、なかでも『しそたく餃子』は絶品です。ベースの餃子もおいしいのですが、シソのさわやかな風味とゴマ油で炒めたたくあんの食感が、さらにおいしさを膨らませます」

――家庭で餃子を作るとき「これを入れると、おいしくなる」という、おすすめがあれば教えてください。

「餃子職人がよく使うものとして『みそ』『ハチミツ』が、肉や野菜の旨味を膨らませるものとして挙げられます。あと、梅干しやレモンピールなど、酸味を感じる食材も相性がいいと思います。

小麦粉の甘味、調味料や肉・野菜の塩味、苦味、旨味に加えて酸味を補完すると、よりおいしく感じられるからだと思います」

――家庭で餃子を上手に焼くコツを教えてください。

「コツとしては、『フッ素がしっかり残ったフライパンを使う』『フライパンの温度を下げないようにする』『火力は「消火orとろ火」と「強めの中火」しか使わない』の3つです。

イラストを交えた『絶対に失敗しない餃子の焼き方』もあるので、参考にしておいしく焼いて楽しんでもらえると、うれしいですね」

一年中おいしい餃子ですが、夏に食べるのも格別。暑さで食欲がないときこそ、自分好みの餃子をたっぷり味わいたいですね。

○取材協力:焼き餃子協会

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