「あなたのことをGoogleで調べたの」 スペインの民泊で驚きの体験 “おしゃれな提案”に称賛の声

旅先で使いやすい固形水彩絵の具と筆(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「申し訳ないけど、あなたのこと調べたの」――海外旅行先でそんなふうに切り出されたら、思わずドキッとしてしまいますよね。しかしその後、思いがけない素敵な提案を受けたという心温まる投稿が、X(ツイッター)で3万件を超える“いいね”を集め、大きな話題になっています。投稿者は、テレビアニメ「ザ・ファブル」の総作画監督やショートアニメ「ヤマデロイド(アニメーター見本市)」の監督を務めるなど、人気アニメーターでAIロボットのビヘイビアデザイナーとしても活躍する江本正弘(@masahiroemotion)さん。話題の投稿について、詳しいお話を伺いました。

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物語のような展開に感動の声が続々

「今泊まっているAirbnbのホストに延泊できるか聞いたら
『申し訳ないけどあなたのことをGoogleで調べたの』と言われ何か悪いこと言われるのかとドキッとしていたら
『絵を描いてもらえないかな、そしたら部屋代は無料でいいよ』とおしゃれな提案
そのうえ、描いて渡したら来週までタダで泊まっていいと…」

そんなメッセージに添えられたのは、水彩画の写真。ソファでうたた寝をする男性が、優しいタッチで描かれています。そのすぐ近くには、固形水彩絵の具と細い筆、そしてパレットが。その場でサラサラと描かれたことが想像できます。

投稿にはなんと3.1万件もの“いいね”が。リプライ(返信)には、「小説みたいなストーリー展開を期待してしまうエピソードですね。すごく粋な提案で素敵だと思いました!!」「そういったご縁が旅の醍醐味ですよね」「なんだか物語の中の“旅の画家”みたいな出来事ですね」「僕の家にも泊まりにきてください! そして1枚でいいんで……」など、さまざまな声が寄せられています。

江本さんが民泊のホストに渡した実際の絵【写真提供:Masahiro Emoto(@masahiroemotion)さん】

海外渡航歴は10か国以上 何度も絵に助けられてきた

投稿者の江本さんは、スペイン南部の都市・グラナダで4月6日~7日に開催されたアニメイベント「FicZone 2024」に登壇。イベント後は、現地での取材やトークセッションに対応するため、ホテルや民泊などを利用しながらスペイン各地を3か月ほどめぐっています。作業を8割、部屋で過ごしたり街歩きや友人と食事をしたりする時間が2割ほどで、忙しく過ごしているそうです。

ホストから素敵な提案を受けたあと、江本さんは実際に、投稿に載せていた絵をプレゼント。すると、とても喜んでもらえたといいます。

実は、これまで10か国以上を旅したことがあるという江本さん。困ったことが起きたときやコミュニケーションを取るうえで、言語に加えて何度も絵に助けられたそうです。

中米の国を訪れた際は、カードトラブルに見舞われて現金が引き出せず、ほぼ無一文になってしまうという事件が。そんなときも絵を描いて、どうにか窮地を脱しました。そんな江本さんに、海外で絵を描くコツを聞いてみました。

「モデルの仕事をされているわけではない人をその場で描く場合は、その人もそれほど長い時間じっとしていられません。なので、なるべく短時間で完成させるようにしています」

日本のアニメは、いまや万国共通語ともいえるほど世界的な人気を誇っています。そうした日本アニメの最前線で、絵に命を吹き込んでいる江本さんだからこそ、現地の人々の生き生きとした様子が伝わってくる素晴らしい絵に仕上げ、多くの人を感動させることができるでしょう。江本さんの作品の数々は、インスタグラム(masahiro.emotion)でも見ることができますよ。

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