【解説】厚労省「カスハラ」めぐり資料削除 「不快な思いする可能性」と厚労相謝罪 “抗議1件”も「シニア」差別に繋がる恐れ

厚労省のホームページに掲載されたカスハラ対策の内容について、高齢者差別との指摘を受けたことから、6月11日に文言の削除・修正が行われた。「シニア層などに傾向が見られる」との記述が抗議を受けており、厚労相は「不快な表現が含まれていた」として削除を決定したという。

「不快な思いをされる可能性」…抗議受け削除

厚労省関連のホームページに掲載されたカスハラ対策の内容が、高齢者差別にあたるとの指摘を受け、削除されていたことが分かった。

削除されたのは、厚労省が運営するハラスメント対策のホームページに掲載された内容だ。

カスタマーハラスメントについて、「威張りちらす行為」をする人について「社会的地位の高い人、高かった人、定年退職したシニア層などに傾向が見られる」と記されていた。

これを見た人から、「高齢者の差別にあたるのではないか」との抗議があり、6月11日に削除し、修正して掲載したということだ。

武見厚労相は、「この表現に対して不快な思いをされる可能性があると判断をして、当該箇所を削除したものであります」と説明。

厚労省は、表現について十分に確認することを徹底していきたいとしている。

調査ではカスハラは60代以上が半数も…

青井 実 キャスター:
「高齢者の差別にあたるのではないか」との抗議を受け削除し、修正したということですが、抗議は1件だったということです。修正したことで資料の情報量は落ちる側面もあるが、抗議を受けて削除しました。

スペシャルキャスター 柳澤秀夫さん:
昔から「年寄りは口うるさい」という話はありますが、こういう表現がまかり通ってしまうと、まさにその差別に繋がってしまいます。しかも、「1件だけの抗議」と言いますが、1件だけの抗議で修正する前に、やはり中身については吟味して出すということをして欲しいです。

青井 キャスター:
そもそも、なぜ「シニア」層という言葉が入ってきたのでしょうか。

遠藤 玲子 キャスター:
サービス業の労働組合が行った最新調査によると、「カスハラ」を行った客を世代別で見ると、60代以上というのがおよそ半数を占めていて、このようなデータを元に厚生労働省明記したということです。
しかし、厚労省では正式にデータを取っていないとして、不快な思いをする可能性があると判断して、今回削除したという流れになっています。

イメージのひとり歩きが問題

スペシャルキャスター 柳澤秀夫さん:
「シニア」で括ってしまったら、「シニアの人はみんなカスハラする」というイメージがひとり歩きしてしまう恐れがあります。
そこはもう想像力を働かせて、こういうふうな表現したら不快感を持つということを分かって欲しいなと思いますね。

青井 キャスター:
しかも、その「カスハラ」というハラスメントの話をしていて、それを不快に思う人がまた出てくるわけですから、その辺りはちゃんと吟味をして、資料も作っていただきたいと思います。
(「イット!」 6月21日放送より)

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