【識者見解】W杯最終予選、“最悪”の組み合わせは? 理想は日本、豪州、ウズベク、バーレーン、パレスチナ、クウェート

北中米ワールドカップ・アジア最終予選の組分け抽選が、6月27日にマレーシアのクアラルンプールで行なわれる。

最終予選に進んだ18か国を3つのグループに分けることになるが、最新のFIFAランキングでアジア勢トップの17位である日本はイラン、韓国と共にポット1となる。

つまり少なくともイラン、韓国とは同組にならないわけだが、ポット2にはアジアカップ連覇のカタールをはじめ、W杯常連のオーストラリア、そしてイラクという強豪が名を連ねており、この3か国のうちどこかは日本と同組になる。

オーストラリアとは前々回、前回と同組でホーム&アウェーを戦い、前々回が1勝1分、前回は2連勝している。決して簡単な相手ではないが、カタールよりはベターかもしれない。

イラクはロシアW杯の予選で同組になり、1勝1分だった。ただし、今年1月のアジアカップで1-2の敗戦を喫しており、エースのアイマン・フサインを中心としたシンプルに縦を狙うスタイルは、日本にとって、あまりやりやすい相手とは言えない。また政情不安も改善されて、おそらくバグダッドでホームゲームを行なえることも、対戦国からすると不気味さがある。

このポット2でどこがベターかを簡単に判定することはできないが、最悪はカタール、最良はオーストラリアか。ただ、欧州組の移動の負担も考えると、オーストラリアが同組になった場合は、アウェーゲームがどのタイミングになるかも気になるところだ。

そして最終予選の大きな鍵を握りそうなのが、ポット3のどこが入ってくるかだ。

サウジアラビア、ウズベキスタン、ヨルダンと一筋縄ではいかない国ばかりだが、やはり最も避けたいのはサウジアラビアだろう。ウズベキスタンは近年着実に力をつけており、ヨルダンはアジアカップの準優勝国。どちらも甲乙つけ難いが、やりにくさという基準では、ブラジルW杯最終予選のアウェーで敗れたヨルダンよりはウズベキスタンがベターか。

ポット4は最終予選を突破するために、必ず勝つべき相手になってくる。UAE、オマーン、バーレーンという中東の3か国だが、最も侮れないのはUAEだ。アジアカップではラウンド16で伏兵のタジキスタンにPK戦負けという結果に終わっただけに、カタールW杯で韓国を率いたパウロ・ベント監督も目の色を変えて、最終予選に向けて強化してくるだろう。

ただ、スタイルとしてはUAEがポゼッション重視、バーレーンがバランス型、オマーンは日本を相手にした場合、守りを固めてロングボールを中心にカウンターを狙ってくることはほぼ間違いなく、そういう意味でのやりにくさはUAEよりもあるかもしれない。それでも、チームの状態次第ではポット1、ポット2の国とも渡り合えるポテンシャルを備えるUAEは最も避けたい。

バーレーンとオマーンは両国に力の差はあまりないが、オマーンは前回予選の初戦で、日本がホームで敗れた因縁の相手だ。当時のブランコ・イバンコビッチ監督はすでに退任し、現在は中国を率いているが、伝統的な粘り強い守備とサリム・アルヤハヤエイがタクトを握るダイナミックな攻撃は厄介だ。アジアカップで対戦しているバーレーンの方が計算は立ちやすいか。

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ポット5は中国、パレスチナ、キルギスだが、チーム力に大差は無いなかで、やはりセントラル開催が見込まれるパレスチナが若干ベターか。

中国はフィジカル的な強さはあるが、攻守のクオリティという基準では日本と確かな差がある。ただ、上記の通り、前回オマーンで日本を破ったイバンコビッチ監督の存在は侮れない。また2連勝したカタールW杯の最終予選はコロナ禍で、中国のホームゲームがセントラル開催だった。完全アウェーとなれば、当時とは状況が変わりうる。

キルギスは2次予選でオマーンと引き分けるなど、ポット5としてはかなり手強い相手だ。ここ数年の成長が顕著で、カタールW杯の2次予選で対戦し、ホームで5-1、アウェーで2-0と勝利した当時より、確実に強くなっている。無論、日本もレベルアップしているが、同組になれば軽視できない相手として認識していく必要がある。アウェーの環境も中東などとまた大きく異なるが、2019年に代表スタッフがオン・オフを含めて経験しているのはメリットだ。

ポット6の北朝鮮、インドネシア、クウェートでなるべく避けたいのは北朝鮮だ。2次予選ではホームで1-0と勝利、アウェーは二転三転したあげく開催中止、日本の不戦勝となったが、シリアを逆転して、奇跡的な突破を決めた6月のホーム2試合はラオスのビエンチャンで行なった。チームのポテンシャル的にも、ポット6で北朝鮮を引いた組はややアンラッキーと言える。

インドネシアは韓国人のシン・テヨン監督が徹底した堅守速攻を植え付けており、オランダ育ちのFWラファエル・ストライクやプレミアリーグのウォルバーハンプトンからセレッソ大阪に期限付き移籍しているジャスティン・ハブナーなど、タレント力はポット6で随一かもしれない。ただ、やはり最終予選は経験値がものをいう部分もあり、躍進を果たしたら大きなニュースになるだろう。

日本にとってクウェートはスタイル的に、引いた相手をいかに崩すかという課題に最も向き合う対戦になるかもしれない。また昨年は親善試合ながらバーレーンとシリアに勝利している。この3か国の中では最もベターな相手かもしれないが、欧州組がシーズンインしてすぐに迎える初戦で当たれば、前回のオマーンのように思わぬ苦戦もありうる。

★河治氏が考えるアジア最終予選の最良・最悪の組み合わせ

▼最良の組み合わせ
日本、オーストラリア、ウズベキスタン、バーレーン、パレスチナ、クウェート

▼最悪の組み合わせ
日本、カタール、サウジアラビア、UAE、キルギス、北朝鮮

文●河治良幸

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