「最後まで匿名は容認できない」とする専門部会の検証報告書に“困惑”する母親も【こうのとりのゆりかご】

熊本市にある慈恵病院が運用する、親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」で、預け入れに来た母親が匿名で良いか分からず、混乱した事例があったことが明らかになった。慈恵病院の蓮田理事長は匿名性をめぐり、市長などに公開質問状を提出する方針だ。

「どうしたらいいのか分からない」

6月5日に「こうのとりのゆりかご」の検証を続けている熊本市の専門部会は、実の親の匿名性について「最後まで匿名を貫くことは容認できない」とする第6期の検証報告書を公表した。

これを受け、6月13日に慈恵病院の蓮田健理事長は「最近、ゆりかご預け入れでトラブルがあった」と報告。匿名を希望して赤ちゃんを預け入れに来た母親が、扉を開けずにインターホンを押して病院に相談した事例があったと明かにした。理事長の聞き取りに対し母親は「インターネットで調べたら“匿名を容認できない”という報道があり、どうしていいか分からなかった」と話したということだ。

蓮田理事長は「“匿名はやめてください“というメッセージになっている。委員には慈恵病院とか行政が見るだけでなく女性たちも見ている(と認識してほしい)。ゆりかごに預け入れる女性は非常に厳しい状況。こうおっしゃる方は初めてでしたが、女性たちがどう受け止めているか心配している」と話した。

病院は母親の意向尊重し匿名で預かる

病院は母親の意向を尊重し、匿名で赤ちゃんを預かり、ゆりかごの預け入れ事例としてカウントされたということだ。

蓮田理事長は「匿名は認められないという表現なら、女性たちは利用できない。詳しい説明、真意を伺いたい」と話し、この件などについて熊本市長とゆりかご専門部会に公開質問状を提出するとしている。

(テレビ熊本)

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