【解説】経済制裁のロシアに“プーチンブランド” ファッション業界でオリジナル店 スマホや車は中国製に変化

ロシア・モスクワで、プーチン大統領が支持するファッションブランド「プーチン・チーム・ロシア」が注目されている。ロシアでは、経済制裁による欧米企業の撤退後、コピー店や中国製品が市場を占めるている状況だ。

「プーチン・チーム・ロシア」が登場

青井 実 キャスター:
プーチン大統領が友好国を訪れ、関係強化を活発化させています。西側によるロシアへの経済制裁もあまり効いていないようで新たな店が登場するなどしています。

フジテレビ・立石修 取材センター室長:
モスクワの街は賑わっているようだ。欧米の店が撤退しているが、スタバに似せた「スターズコーヒー」やケンタッキーの「K」を「R」に変えただけの「ロスティクス」など、いわゆるコピー店が次々と登場している。

また、ファッション業界ではロシア・オリジナルの店も登場している。リスペクトするプーチン氏を名前に付けたブランド「プーチン・チーム・ロシア」。こちらの店を、モスクワ支局特派員が取材した。

遠藤 玲子 キャスター:
モスクワのショッピングモールにある、「プーチン・チーム・ロシア」のお店では、パーカーやジャンパー、さらに帽子やカバンなど揃えられているのですが、全ての商品にPTR=プーチン・チーム・ロシアのロゴが入っています。

FNNモスクワ支局 土井 若楠 支局長:
ロシアの国旗をモチーフにしたデザインが人気だということです。全てロシアで作られていて「メイドインロシア」と書かれています。

「プーチン・チーム・ロシア」の社長:
4年前にプーチン氏の前で発表し、このアイデアを提案しました。

「プーチン・チーム・ロシア」の店員:
これはプーチン氏も着用しています。

立石 取材センター室長:
「プーチン・チーム・ロシア」はプーチン氏本人からお墨付きをもらった、いわばプーチン一押しブランドと言える。社長は中国など安価な国で作るのではなく、国内生産にこだわっており、国内雇用を増やすという政府の方針と一致もしている。

遠藤 キャスター:
5月時点で国内40店舗が展開され、2026年にはベラルーシなど旧ソ連も含めて、100店舗を出店する計画です。

立石 取材センター室長:
EUでも、プーチン氏と距離の近いオルバン大統領がいる、ハンガリーなどに輸出を計画している。

青井キャスター:
店舗をいろいろ展開しようとしているということですが、実際人気はあるんでしょうか?

立石 取材センター室長:
取材した土井特派員に聞くと、店は満員というわけではないがモノの品質は悪くなく、安く買えるため人気は高いという。かつては欧米ブランドや日本のユニクロが人気だったが、撤退しているため、若者としては、こういう所で買うしかない状況だ。また、店舗数も増えており経営は順調のようだ。

中国製ブランドがあふれかえる

青井キャスター:
ただ、ロシアの企業だけでは需要をまかなうことは出来ないわけで、やはり中国などの進出も考えているのでしょうか?

立石 取材センター室長:
モスクワ市内の様子を取材すると、中国製品があふれている状況だ。並んでいた冷蔵庫などは全て、中国製のブランドのものだった。そしてスマートフォンなどもかつては韓国製のものなどが多かったが、中国製のものにすっかり取って代わられている。

中でも顕著なのは自動車業界で、市内には様々な中国車のディーラーがあり、購入に訪れたロシア人の姿もあった。

遠藤 キャスター:
2023年の新車販売台数ランキングの国名に注目すると、1位をのぞいて2位から7位まで中国車が占めています。

立石 取材センター室長:
2023年の中国とロシアの貿易は過去最大で、ロシア経済を支えている状況だ。ただ、制裁の中で、ロシア経済が好調なのは巨額の軍事支出が国内の景気を刺激しているからだ。

しかし、これらの軍事資金も国債に支えられたもので、必要な部分に投資が回っていない。長期的に制裁の効果が出るとの見方もある。

青井キャスター:
柳澤さんは、この状況をどうみていますか?

スペシャルキャスター 柳澤秀夫さん:
西側の経済制裁は限界があると思います。ロシアは産油国で輸出していて、中国との間で抜け穴があります。グローバルサウスの国に対しても安く原油を売って金が入ってくる。そういう部分をしっかり蓋をしていかないと、ロシアに対する制裁というのは効果は出てこないと思います。

青井キャスター:
こういった国内の現状を見ても、なかなかそういったことは感じられないですよね。

立石 取材センター室長:
ロシアのGDPを見ても、当初予想を大きく上回り3.6%とアメリカや日本を上回っている状況だ。
(「イット!」 6月21日放送より)

© FNNプライムオンライン