“世界ランク2位”を確定させた日本男子バレー、五輪開催国フランスの司令塔は「とんでもなかった」と絶対的エースを大絶賛!【ネーションズリーグ】

バレーボール男子日本代表が、1か月後に控えるパリ五輪へ向けて大きく弾みをつけた。

フィリピン・マニラで予選3週目が開催中のネーションズリーグ(VNL)で現地6月23日、世界ランキング3位の日本は、同5位のアメリカを3-0(25-20、25-23、25-19)で撃破。キャプテンのアウトサイドヒッター(OH)石川祐希や体調不良のOH高橋藍、オポジット(OP)西田有志といった主軸を欠くなか、OP宮浦健人が18得点、OH甲斐優斗が17得点と爆発をみせ、見事に予選ラウンド最終戦を有終の美で飾った。日本は世界ランキング2位に浮上した。

また、前日の22日には東京五輪金メダリストの同7位フランスを、セットカウント3-2(17-25、19-25、25-16、25-23、15-10)の大逆転で撃破。強敵を相手に主力を欠くなか、2セットダウンを覆した戦いぶりはパリでメダル獲得を狙うチームに、さらなる自信をもたらしたに違いない。

日本は、21日のオランダ戦で完勝を収めて決勝ラウンド進出を決定していたが、高橋藍がその試合から招集外に。公式発表はないものの、開催地フィリピン最古の英字新聞『The Manila Times』は同国バレーボール連盟のラモン・スザラ会長の発言として、「タカハシは、膝の故障を治療するため母国へ帰国した」と報じた。

今や主将・石川祐希と並び攻守でチームの中核を担う高橋の不在に加え、フランス戦では、今大会で絶好調のオポジット(OP)西田有志が体調不良により、途中交代するアクシデントも発生。しかし、層の厚さを増した日本を象徴するかのように、OH大塚達宣と甲斐優斗、OP宮浦健人らが躍動。成長著しい個々の技術、メンタルの強さと結束力で逆境を乗り切り、見事な復活劇で自国開催の五輪で連覇を目指すフランスを打破して飛び交う不安を一掃した。

そして、厳しい戦いを強いられた日本を支え、牽引したのは石川だった。ここまで思うように調子が上がらず精彩を欠いた試合もあったが、この日は全体トップの33得点(アタック31、エース1、ブロック1)を叩き出して大暴れ。現地では最大手全国紙『Inquirer』の電子版が、次点となる22得点を挙げたフランスの主砲ジャン・パトリを10得点以上も上回った圧巻のパフォーマンスを、「イシカワが自らの活躍でピンチへ陥った日本を救い、起死回生の勝利へ先導」と伝えている。 2セット先取からまさかの敗戦を喫したフランスのスポーツ専門メディア『Dicodusport』は、「イシカワのセンセーショナルな攻撃」と大逆転の原動力となった背番号14に感服し、老舗スポーツ紙『L'Equipe』の電子版も、「イシカワ オン ファイアー!反撃の陣頭に立つと、イタリアリーグで4シーズン在籍したミラノからペルージャの一員となる人物が、ほぼすべての攻撃で得点を奪い、チームメートと観客を歓喜の渦へいざなった」と報道。対戦国のメディアも28歳の破竹のパフォーマンスを絶賛するしかなかったようだ。
先発出場した同国の司令塔、バンジャマン・トニウッティも試合後に、「イシカワがとんでもなかった。素晴らしい選手であることはチーム全員が理解していたさ。それでも、今日の彼を止めることはできなかったんだ」と本領を発揮した日本の絶対エースに脱帽した。

フランス戦、そしてアメリカ戦の勝利により、日本は予選ラウンド全日程を終えて、世界ランキング2位となり、五輪のグループ分け抽選でポット1に入ることが確定。6月28日からスタートする決勝ラウンドでの躍進とともに、同26日に行なわれる五輪のグループ分け抽選の行方が注目される。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社