日本の文化財保護行政の「生みの親」、東京国立博物館初代館長、でも知名度いまいち…郷土の偉人「町田久成」全国発信へ、地元有志が顕彰プロジェクト着々

町田久成を生かした地域おこしについて話し合う「石谷夢プロジェクト」のメンバー=鹿児島市石谷町

 鹿児島市石谷地区で、ゆかりの偉人・町田久成(1838~97年)を地域おこしに生かす取り組みが進んでいる。地元有志の「石谷夢プロジェクト」が中心となり、関連史跡の見学会や講演会を実施。メンバーらは「夢は大きく、将来は記念館建設まで機運を高めたい」と意気込んでいる。

 町田家は代々石谷領主だった家系で、久成は薩摩藩英国留学生として渡欧した。

 明治維新後は国内にある貴重な文化財の散逸、破壊を憂い、東京国立博物館の設立に尽力。初代館長を務め、日本の文化財保護行政の「生みの親」とも呼ばれる。

 夢プロジェクトは2023年5月に発足し、13人で活動する。初年度は町田家の墓や居城跡の見学会、有識者の講演会を企画。松陽高校美術部の協力で町田をモデルにしたオリジナルキャラクター「まっちー君」を考案した。

 19日にあった会合では、2年目の活動方針を議論。メンバーからは「どんな仕事をした人なのか県内でも認知度が足りない」「大河ドラマを目指そう」との意見が出され、ポロシャツやうちわを使った広報戦略、勉強会の企画などの取り組みを決定した。

 木之下俊朗会長(68)は「石谷が全国に誇るべき人物なのに、これまで生かせていなかったのは反省点。さまざまな取り組みで偉業を発信したい」と話した。

町田久成を生かした地域おこしに取り組む「石谷夢プロジェクト」のメンバー=鹿児島市石谷町

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