ピンが激近……でも寄せたいし止めたい! 柔らかく上げるアプローチは“芯を外して打つ”が正解だった

あと10センチ違っていればラクに打てたのに……という嫌な状況のアプローチに遭遇することがある。かつて世界一にも輝いた宮里藍の父でありコーチの優氏は、「多くのアマチュアは、クラブの芯を外す打ち方を覚えると、対応できる状況がグンと広がります」と話す。芯を外したら、それこそまともに打てなくなるんじゃないの⁉

「例えば、カラーから外れて芝がモシャモシャしたラフに止まってしまったとします。ピンとの距離が近いこともあり、調節して打つぶん、リーディングエッジがラフに負けて突っかかりチャックリになりやすい状況です。かといって、距離的に強くも打てない。そんなときは、ウェッジの先っちょで打ってみてください。この方法なら小さな振り幅でヘッドスピードがなくても芝の抵抗は受けないため、チャックリやトップの心配がありません。パターヘッドの先端で打つのもいいですね」

なるほど、クラブの先端でボールをコツンと突いてあげるだけでコロがっていくからすごく簡単だ。つい、ボールを打つ=フェース面と思いがちだが、状況に応じてクラブの使い方を変える柔軟な思考も大切なわけだ。

「では、こういう状況はどうでしょう。芝が薄く地表が見えている位置。しかもグリーンは砲台で、下り傾斜でピンも近い。柔らかい球を打ちたいけれど、球の下に空間がないため、無理に上げようとすればザックリしてしまいます。このように球足の弱いアプローチを打ちたいときは、“わざとクラブの芯を外す”のが効果的。ウェッジのヒールを浮かせて構え、フェース面のトゥ寄りでヒットします。ヒールを浮かせているため、ソールの接地面積が少なくなり、ライが薄くてもザックリが起きにくい。あとは、握り方も構え方も振り方もパターそのもので打てばOKです」

たったこれだけで球が柔らかく浮くなんて……どうしてそうなるのだろう?

「ヒールを浮かすということは、リーディングエッジを目標にスクエアにセットしても、フェースが若干開いた状態になります。そのため、球にスライス回転がかかり、柔らかく出すことができるのです。出球が柔らかいぶん球足も弱いため、ピンまでの距離が近いときには有効な手段になります」

多用する機会は少ないかもしれないが、打ち方のバリエーションを増やすことで、難しい状況に遭遇したときの対処能力が上がる。“あえて芯を外す打ち方”は覚えておいて損はないだろう。

◾️宮里 優
29歳でゴルフをはじめ、独学でゴルフ理論を構築。36歳の時に男子プロトーナメントの大京オープンにアマチュアとして出場。その後、ティーチングプロの道を歩む。子供たちと一緒に楽しみたいとやらせたゴルフだが、結果的に聖志・優作・藍の3人共プロゴルファーの道を選んだ。

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