琵琶湖を自転車で1周「ビワイチ」過去最高の12万8千人に 課題は「中高年が多数」

ビワイチを楽しむ自転車愛好家たち(滋賀県提供)

 自転車で琵琶湖を一周する「ビワイチ」の体験者数が、2023年に推計で約12万8千人となり、過去最高を更新したことが滋賀県の調査で分かった。サイクリングブームも追い風となり、新型コロナウイルス禍で一時落ち込んでいた人数がV字回復を果たした。県はさらなる活性化に向け、若い世代や宿泊客の取り込みにも力を入れる。

 ビワイチは琵琶湖を望む約200キロのサイクリングコース。1日での走破も可能だが、県内を観光しながら2~3日をかけて走る人も多い。

 滋賀県は守山、米原、高島各市の湖岸沿い3カ所に設けた計測器や県公式のビワイチアプリの集計データを元に、体験人数を推計している。調査を始めた15年の体験者数は5万2千人だったが、サイクリング機運の高まりを受け、18年には初めて10万人を突破。21年には8万4千人台に落ち込んだものの、コロナ禍の収束とともに回復し、23年は前年比30.6%の大幅増となった。

 滋賀県によると、ビワイチが19年に国の「ナショナルサイクルルート」に指定されて人気と知名度がさらに高まったことや、サイクリングしやすい環境が整ってきたことが増加の背景にあるという。

 滋賀県内では、自転車の空気入れやトイレ休憩などができる「サイクルサポートステーション」が増加し、現在はコンビニやホテルなどの約350カ所に拡大した。また、22年には大津港に大津市が自転車レンタルの拠点施設を開設している。滋賀県ビワイチ推進室は「ハードとソフトの両面で受け入れ環境が整ってきたことが人気につながっている」とみる。

 一方で課題もある。公式アプリを通じたアンケートによると、ビワイチの体験者は50代が37%、40代が30%となるなど、中高年が多数を占めた。20~30代を十分に取り込めていないことから、滋賀県は、サイクリングした距離などに応じてポイントをためられる公式アプリのマイレージサービスをPRするなどして、需要を喚起していく方針。また日帰り客が約7割を占めることから、より滞在時間が長く消費額も大きい宿泊客を増やすことが今後の課題という。

 滋賀県ビワイチ推進室は「滋賀県が認定する『サイクリストにやさしい宿』もあるのでぜひ宿泊してもらい、県内を観光しながら一周する人を増やしていきたい」としている。

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