新世界王者シナーがハーレ大会初優勝でウインブルドンに向け手応え!「間違いなく自信は増している」<SMASH>

男子テニスツアー「テラ・ウォルトマン・オープン」(6月17日~23日/ドイツ・ハーレ/芝コート/ATP500)は現地23日にシングルス決勝を実施。第1シードのヤニック・シナー(イタリア/世界ランク1位)が第5シードのフベルト・フルカチュ(ポーランド/同9位)を7-6(8)、7-6(2)で下し、同大会初優勝並びにツアー通算14勝目を飾った。

先日行なわれた四大大会「全仏オープン」(フランス・パリ/クレー)でベスト4入りし、大会後のランキングでイタリア人選手初となる世界1位の座に就いた22歳のシナー。

芝シーズン初戦として臨んだ今大会はタロン・フリークスポール(オランダ/同27位)、ファビアン・マロジャン(ハンガリー/同45位)、ヤン‐レナード・ストルフ(ドイツ/同41位)をいずれもフルセットで下すと、準決勝ではジャン・ジジェン(中国/同42位)に6-4、7-6(3)で勝利。苦しみながらも決勝へと駒を進めていた。

決勝で顔を合わせたのは、今大会のダブルスでペアを組む(同ペアは準々決勝敗退)など親交の深い27歳のフルカチュ。196センチの長身から繰り出される強力なサービスを武器に芝コートで結果を残しており、22年のハーレ大会では優勝を飾っている。それゆえにシナーにとっては厳しい戦いとなることが予想されていた。

試合は序盤から両者一歩も譲らない緊迫の展開。シナーはフォアハンドのミスが目立ったものの要所をしっかりと締め、相手に流れを渡さない。しかし自身もフルカチュのサービスを破れず第1セットからタイブレークに突入。ここでは5-2とリードしたところから5-5に追いつかれたシナーだったが、最後は3度目のセットポイントを生かして1セットアップとする。
第2セットも互いにサービスダウンがないままこの日2度目のタイブレークへ。ここではシナーが途中4連続ポイントを奪うなど主導権を掌握し、チャンピオンシップポイントも1回で取り切って勝負あり。1時間49分で芝コート初となるタイトルを手にした。

これで早くも今季4勝目。さらには世界1位となって初めてのツアー優勝も成し遂げた22歳の新王者は、試合後のインタビューで決勝戦を振り返りつつ、次のように喜びを語った。

「とても意味のあることだ。厳しい試合だった。サービスを本当にうまく打たなければならないことはわかっていたし、セット全体を通して本当に重要なポイントでは2、3回しかない。だから勝ててうれしいし、重要な場面でできる限り最高のプレーができるよう力を尽くせた。今大会の結果にはとても満足している。初めて芝コートで優勝できて、いい気分だよ」

来週開幕を迎える「ウインブルドン」(7月1日~14日/イギリス・ロンドン/芝)では今年1月の全豪オープンに次ぐ四大大会2勝目に大きな期待が寄せられているシナー。

最後には「ウインブルドンをただただ楽しみにしている。昨年はベスト4に進出し、いいテニスができた。間違いなく自信は増している。ハーレの芝とウインブルドンの芝は少し性質が違うかもしれないが、まだ1週間ある。良い大会になることを願っている」と意気込みを示した。

文●中村光佑

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