【グラフで見る】役職に占める女性の割合は21.1%!部長相当職は8.0%に
少子化対策として政府が共働き推進を強調する中、女性の社会進出に関心が寄せられています。一方で、日本における女性の管理職は、国際的にみれば低い水準となっています。
管理職における女性の割合や、管理職に抱いているイメージは、どのようなものでしょうか。
今回は、女性の管理職の実態について解説します。
記事の後半では、管理職の女性が賃金をいくらもらっているか解説しているので、あわせて参考にしてください。
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管理職の割合
厚生労働省が2023年7月31日に発表した「令和4年度雇用均等基本調査」によると、管理職における女性の割合は、全体の12.7%でした。
それぞれの役職に占める女性の割合は、以下の通りです。
役職に占める女性の割合
- 役員:21.1%
- 部長相当職:8.0%
- 課長相当職:11.6%
- 係長相当職:18.7%
過去の推移から管理職における女性の割合をみると、増加傾向となっています。
各産業における女性の管理職
各産業における女性の管理職を割合でみると、以下の通りです。
係長相当職以上の割合が最も高かった産業は「医療・福祉」でした。
次いで「生活関連サービス業・娯楽業」「金融業・保険業」が続きます。
続いて、係長相当職以上の女性管理職がいる企業の割合は、60.5%でした。
企業の約6割が、女性管理職を登用しています。
しかし、どのポジションでも管理職の割合は25%を下回る結果となりました。
以上から、女性の管理職がいる企業は6割を超えていますが、管理職の人数は男性に比べると、少ない現状となっています。
では、女性が管理職についてどのようなイメージを持っているのか、確認しましょう。
女性の管理職にまつわるイメージ
株式会社Mentor Forは、管理職経験がある女性を対象に「管理職経験に関するアンケート」を実施いたしました。
管理職になる前の「管理職のイメージ」を調査した結果、ネガティブなイメージを持っていると回答した割合が、53.6%となっています。
特に、仕事量や責任が重くなる点や、プライベートとの両立が困難な点が回答として目立っています。
しかし、実際に管理職になってみると、ポジティブなイメージが多くなりました。
もちろん、会社ごとに任せられる仕事や組織風土も違うため、必ずポジティブなイメージに変化するわけではありません。
しかし、管理職として立ち回りながら、自身のやりがいや成長を感じられる女性もいることが分かります。
管理職へのキャリアアップができない理由の1つが「子育てやプライベートとの両立」でしょう。
実際に、ニッセイ基礎研究所が2024年3月28日に調査したレポートによれば、女性管理職で子どもがいる割合は、4割に満たない結果となりました。
子どもが小さくなるにつれて、管理職となっている女性の割合は少なくなっています。
育児に手がかかっている小学生以下の子どもがいる場合、管理職となっている割合は14.5%となりました。
以上から、管理職となるとやりがいや成長を感じられる反面、子育てや家庭との両立がしにくい点は、課題として考えられます。
では、女性の管理職が賃金をいくら受け取っているのか、給与事情についても確認していきましょう。
管理職における女性の賃金
厚生労働省は、2024年3月27日に「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」を公表しました。
役職別にみた賃金が、男性と女性でいくらになっているか、それぞれ確認しましょう。
係長職
係長職の賃金は、女性だと33万5900円でした。
一般職の賃金と比較すると、1.29倍の賃金となっています。
係長職となっている人の年齢は45.4歳で、勤続年数は16.6年でした。
課長職
課長職の賃金は、女性だと43万800円でした。
一般職の賃金と比較すると、1.65倍の結果となっています。
課長職となっている人の年齢は49.4歳で、勤続年数は19.3年でした。
部長職
部長職の賃金は、52万1000円でした。
一般職の賃金と比較すると、2倍の結果となっています。
部長職となっている人の年齢は52.4歳で、勤続年数は19.5年でした。
男女別に見ると、同じ管理職でも女性より男性の賃金が高い結果となっています。
管理職ではない人と賃金を比較すると、およそ1.3倍から2倍の結果となりました。
ただ、男性と比べると賃金が低くなっています。
女性の管理職は増加していくのか
管理職における女性の割合と、実際に管理職に抱くイメージについて解説しました。
管理職として登用している企業の割合は徐々に増加しています。
しかし、男性に比べると、管理職になっている女性は少ない実態でした。
自身の成長や責任感が増す点にポジティブなイメージを持っている反面、子育てとの両立に難しさを感じる人もいるでしょう。
また、同じ管理職でも、男女間で受け取る賃金に差がありました。
厚生労働省が公表した「女性活躍及び仕事と育児の両立支援について」によれば、男女間の賃金格差は縮小していると発表しています。
とはいえ、実態としてはまだ賃金差は生じているので、今後もさらに差を縮められるか、注目していく必要があるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「女性活躍及び仕事と育児の両立支援について」
- 厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」
- 株式会社Mentor For「管理職経験に関するアンケート」
- ニッセイ基礎研究所「女性にとって「育児と管理職の両立」は可能か~中高年の女性管理職のうち、子がいる割合は4割弱」
- 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」
- 厚生労働省「女性活躍及び仕事と育児の両立支援について」