生徒が語った学ぶ楽しさ、大切さ…県内初の「公立夜間中学」開校祝う式典 福島

福島県内に公立夜間中学が開校したことを祝う式典が、福島市で開かれました。開校を求めてきた民間の団体が主催したもので、夜間中学に通う生徒たちが、学ぶ大切さを語りました。

22日、福島市のホールに、全国各地からおよそ130人が集まりました。

大谷一代さん「福島市立夜間中学開設を決断したこと、大変ありがたいと思っています」

式典を主催した団体の代表・大谷一代さん。自主夜間中学を運営する傍ら、10年以上にわたって、公立校の開校を求めてきました。この春、県内初の公立校福島第四中学校天神スクールが開校。長年の願いが、ようやく叶いました。

式典には、開校に携わった関係者などが一堂に会し、改めて学び直しの大切さを考えました。夜間中学を20年かけて卒業した西畑保さん。奈良から駆けつけて、自身の経験を語りました。

西畑保さん「夜間中学に行って勉強する言うたら、嫁さんは初めて涙出して喜んでくれた。子どもも喜んでくれました。それで僕65歳から、入学祝い金もらうとは夢にも思いませんでした」

そして、覚えた字で、妻にラブレターを書いたエピソードを笑いを交えながら、紹介しました。つづいて登壇したのは、天神スクールの生徒、鈴木直幸さんです。

鈴木直幸さん「私は学生のころ、勉強の楽しさや重要性がまったくわからず、他にもいろいろ事情がありましたが、授業を受けるのが、苦痛でしかありませんでした」

天神スクールができる前は、大谷さんたちが運営する自主夜間中学で6年間、勉強を続けてきた鈴木さん。この日は、自主夜間中学で、多くの時間を過ごした先生の清野治巳さんへの感謝を語りました。

鈴木さん「国語と社会を教えてくれた清野さんは、いつも怒っているような人ですが、その中にも優しさを感じられる人でした」

自主夜間中学から、公立校に「転校」した鈴木さんですが、いまも大切にしている清野さんの「教え」があります。

鈴木さん「清野さんは、わからないことはそのままにしておかないで、わかるまで聞くんだぞといつも言っていました。私はそれが学ぶ上で、一番大事なことだと思い、いつも念頭に置くようにしています」

新たな学校の完成を祝うとともに、改めて、学び直す大切さを考えた3時間。大役を終えた鈴木さんは…。

鈴木さん「緊張しましたけど、自分の思いを伝えられたのでよかったです」 Q.入学から2か月たったが、学校生活は? 「楽しくやっています。国語…ですよね。やっぱり苦手でまだもうちょっとかかるかなって感じがします」

県内では自主夜間中学の開校も相次いでいて、現在、本宮市やいわき市などで、開校されています。また、福島駅前の自主夜間中学も継続して活動しています。そして、天神スクールでは10月入学も募集していて、6月29日と8月28日に、入学希望者への説明会を開くことにしています。



© 株式会社テレビユー福島