「漁師のこだわり」伝え、瀬戸内の魚をPR 行政・料理人・漁師がタッグ 広島

魚の漁獲量が年々落ち込み漁師が苦戦を強いられる中、県は今年度、”漁師のこだわり”をPRし魚の価値を高めることに力を入れています。その取り組みを取材しました。

広島市中区の地下街で24日行われた発表会。

【広島市漁協・岡野さん】
「(広島湾の中の魚は)美味しいですが、どうしても漁獲が少ないがために出回りが少ないので認知度がどうしても低くなっています」

集まったのは漁師や料理人たちです。
潮流の強さや浅瀬の多さ、季節によって大きく水温が変わることから、多種多様なおいしい魚が育つとされる瀬戸内海…。

【鈴木記者】
「会場内にはこうしたパネルがあるが、こちら四季折々ひろしまの旬の推し魚ということで、春夏秋冬このように一覧になっている。その隣こちらがプロフィールになっています。例えばオニオコゼですと、まだまだ期待度、食卓にのぼる頻度は低めだが、今後の期待値を示すということで、オニオコゼや隣のカサゴもまだまだ期待度が高くなっています」

星ならぬ魚マークで表現されるそれぞれの魚の特徴。
県はこうして瀬戸内の魚の強みをPRすることで市場や飲食店と一体となり”ブランド化”しようというのです。

【県 水産課・木村剛司参事】
「こだわり漁師のクラフトマンシップ、職人気質を起点とした瀬戸内魚全体の価値を高めるとともに、県内水産業の持続可能性の向上につなげていきたい」

24日登壇した漁師、江田島市の鹿川漁協に所属する野村幸太さん(39)。

底引き網漁師で冬から春にかけては「タイ」、いまの時期は「ハモ」をとっています。
瀬戸内の魚のブランド化には将来を見据え、こんな期待感を強く抱いています。

【鹿川漁協(江田島市)野村幸太さん(39)】
「魚がとれなくなってきている値段が安いというのが実際のところなんです。いかに漁師が自分たちの生活を守っていくか、というのが僕らの課題。今回の瀬戸内さかなの取り組みがあってそこを解決していけるんじゃないか。今後の漁師の在り方とかを変えていけるんじゃないかなと」

実は野村さん、20代の前半に水産会社で漁師として働いていましたが給料面などから生活に危機を感じ、サラリーマンに転職。
しかし、”漁師への憧れ”を諦めきれず、数年前から再び漁師として船に乗っています。

【鹿川漁協(江田島市)野村幸太さん(39)】
「ものすごくおいしい魚をとっているのに生活が苦しいっておかしいよなと、何か自分ができることがあるんじゃないか。今回刺激を受けて、事務局からも話を聞いてこれはすごい楽しいことになるんじゃないかなと。これから未来に向けて広島の漁師がもっと盛り上がっていくんじゃないかなと思っている」

一方、イベントでは広島市内で店を営む料理人が、旬のハモを使ったおススメ料理を披露し魅力をアピール。
県は来月からプレゼントキャンペーンなども行い、ブランド力向上へPRしていくということです。

<スタジオ>
瀬戸内海でハモがとれることをしらなかったんですが、このように知らないこともまだまだ多いですから、ブランド化が進めば知ることにもつながりますね。

【コメンテーター:元カープ・山内泰幸さん】
「全国の方に知ってもらうことも必要ですし、ブランド化することによって同じ漁獲量でも大きく収入を得ることが期待できると思います」

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